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待っている猫

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第三章

「あんたが思うままにね」
「したらいいのね」
「そんなことはね」
「それじゃあね」
「そう、お祖母ちゃん私達が何時来ても喜んでくれるし」
「お祖父ちゃんも」
「だったら行けばいいじゃない」
 こう妹に言った。
「あんたの思うままにね」
「それじゃあね」
「明日にでも行けばいいわよ、それでビール一本飲む?」
「有り難う」
 妹は姉からビールを一本貰って飲んだ、そしてだった。
 次の日祖母の家に行ってミケに会った、すると暫くぶりに会ったにもかかわらずミケはすぐに彼女のところに来て笑顔を見せた。
 それが嬉しくて次の日もその次の日も由美奈はミケに会いに行った、するとだった。
 ミケはいつも彼女が来ると彼女のところに飛んで来た、それでだった。
 祖母は由美奈に彼女が家に来てミケと遊んでいる時に笑って話した。
「ミケは由美奈ちゃんが来た時が一番楽しそうだよ」
「そうなの」
「普段から明るくていい子だけれど」
「私と一緒の時がなの」
「一番楽しそうで」
 それでというのだ。
「由美奈ちゃんが来たら玄関に跳んで行くのよ」
「そこまでなのね」
「やっぱりここに連れて来てくれた人でいつも優しくしてたでしょ」
「だからなの」
「由美奈ちゃんが一番好きなのよ」
「そうなのね、うちでは飼えないからお祖母ちゃんのところにってなったけれど」
 由美奈はそのことを思い出しながら祖母に応えた。
「この娘は今もなのね」
「そう、由美奈ちゃんがね」
「一番好きなのよ」
「そうなのね」
「だからね、よかったらこれからもね」
「ええ、一緒にね」
「遊んであげてね」
 こう由美奈に話した。
「そうしてあげてね」
「お祖母ちゃんがそう言ってくれてミケが喜んでくれるなら」
 それならとだ、由美奈も笑顔で応えた。
「それならね」
「宜しくね」
「ミケもそれでいい?」
「ニャア」
 ミケは由美奈に嬉しそうに応えた、そしてだった。
 この日も由美奈と一緒に遊んだ、由美奈はそのミケが幸せそうで嬉しかった。気にかけて声をかけてご飯をあげていた彼女がそうであるのを見て。


待っている猫   完


                   2020・3・29 
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