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犬猫屋敷

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第一章

               犬猫御殿
 雅晴香はおかっぱの黒髪で目が大きい、やや小柄だが胸はわりかしあるのはクラスではよく言われている。家は普通のサラリーマンとスーパーのパートで兄が一人いる。
 その彼女の幼稚園から今通っている山口の公立高校まで一緒である安芸城美香あ茶髪で癖があって長い、不遜そうな目、眉は細く長く色白でスタイルよしである。だがこの美香が曲者で。
 家は萩でかなり大きなホテルとふぐの料理店そして多くの土産物屋を経営している資産家だ、世界的な企業である八条グループの傘下でありバックもしっかりしている。
 そうした家にいるのでかなり傲慢な性格で晴香にもそうした態度である。
「仕方ないわね」
「やってあげるわ」
「感謝しなさい」
 いつもこう言って動く、それで晴香も言っていた。
「あんたいつも何か言ってから動くわね」
「そう?」
「そうよ、クラスの行事はいつもそう言って参加して」
 そしてというのだ。
「私と同じ高校受験した時も」
「ええ、言ったわよ」 
 美香は晴香に自分から言った。
「貴女と一緒の学校行ってあげるってね」
「必死に受験勉強してよね」
 実は二人が通っている高校は県内トップクラスの進学校だ、晴香は元々それだけの成績だが美香は晴香より成績が少し落ちていたのだ。
 しかしだ、必死に勉強してだったのだ。
「合格したわね」
「人間努力してこそでしょ」
「それはそうだけれど一言多いのよ、大体ね」
 晴香は美香にさらに言った。
「あんた私のこと子供の頃から何かと庇ってくれてるけれど」
「友達だから仕方なくよ」
「またそう言う、素直じゃないんだから」
「私は思ったことをそのまま言ってるだけよ」
「嘘よね、友達だから一緒の高校行きたかったんでしょ」
「どうかしら」
「あんたならお金持ちのお嬢様学校も行けたのにずっと私と一緒にいるし」
 幼稚園に入る前に晴香と会って仲良くなってそうして自分も晴香の通う幼稚園に入ると言ってそしてだったのだ。
「全く、その素直じゃないのは治しなさいよ」
「心外ね、折角一緒にいてあげてるのに」
「友達だから仕方なくよね」
「そうよ、何かあったら私に言いなさい」 
 美香は晴香に胸を反らして告げた。
「その時は嫌だけれど一肌も二肌も脱ぐわ」
「またそう言うから」
 晴香は呆れるばかりだった、だが。
 美香の態度は変わらない、それでだった。
 いつも一言言ってから動く、高飛車な態度と余計な言葉と共に。そうしてだった。
 晴香が下校中にダークグレーのボロボロの子猫を見付けた時一緒にいる美香は言った。
「汚い猫ね」
「もうボロボロね」
「そんな猫どうでもいいでしょ」
「けれど何か痩せてて」
 それでとだ、晴香はその野良猫を見つつ言った。
「大丈夫かしら」
「そんな猫はどうでもなるでしょ」
「どうでもって」
「爺や、いい?」
 スマホを出して家の使用人に連絡した。
「今私ね」
「そちらにですね」
「いるから。すぐに来て」
 スマホの向こうの家の使用人に話す。
「猫がいるから」
「いつもみたいに適当にね」
「畏まりました」
「あの、適当って何よ」
 晴香はスマホでのやり取りを終えた美香に言った。 
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