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妖精のサイヤ人

作者:貝殻
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第七話:ギリギリの決勝戦!咆哮を上げる少年!

 
前書き
今、今作でのレベルとかランク付け等。FTキャラの設定を再構築していますのでつぶやきに載せるのまだ時間が掛かりそうです。本当、遅くてすみません…ですがこんな更新の遅い作品の相手をしてくれるならまだこれからも投稿しますので…もうちょっとだけお付き合いお願いしますね。
…え?インフレとかどうすんのって?…ドラゴンボールファイターズに波動というのがあってだね…?←

それでは、第七話をよろしくおねがいします。
 

 
★★★★★★★

何故ラクサスが体が弱かったのか―――膨大な魔力を耐えられる程体が強くなかったからだとイワンは考察した。

もしそのまま体が成長すれば耐えられるようになるかもしれない、しかし思っていたより息子の肉体はは普通の子供より小さく、脆い。ならその脆い体を、偶然手にした過去の”ある最強生物”の魔水晶(ラクリマ)を埋め込めばラクサスの体も通常の人間の脆い体からその”最強生物”に近い頑丈な身体へ成長するかもしれない。
そしてその考察は間違いではない。そのおかげでラクサスは自身の魔力に耐えられる肉体になれた。魔力の属性である雷もまた強力なこともあり、弱かった身体が嘘だったように健康な身体よりも逞しく成長にし、子供であるはずが大人の顔負けの体力を身につけていた。
ラクサスが10歳になる頃には、大人の魔道士すらも凌駕する実力を身につけた。
しかし今になってもその最強生物の力を振るうことができなかったが、それは今のラクサスにはなくても十分。
だから最強生物の力なしでも、元から持っていた雷の属性で魔法を使うというスタイルに落ち着き、今に至る…。


★★★★★★★



目の前のサイヤ人の変化が起きたと気づいた時、自身の周りがネロの残像でできた時だった。
ラクサスは元から近接攻撃が得意だったわけではない、元は体が弱い少年だったからか、彼はアグレッシブな動きをするネロの相手をするのが難しい。なにせ、元は体が弱かった少年。喧嘩素人であるラクサスにとって、ネロの動き遅れを取らないのは魔力で身体強化して押していたことが有利に立っていた一つの理由である。
変化の前ならまだ動きが見れた。しかし、今のネロの動きでは対処するのが難しく目で追うのがやっとである。

「チィッ…」

今、目の前で広がっている光景はまるで立体映像のように浮かぶネロ――十体以上の数が周りを周回している状態。

「散りやがれ…!!!」

『!!?』

自分の周辺に走っているネロと思える残像に己の魔力を雷へと変換させて周囲に雷が迸って残像たちを蹴散らせていく。
本物がどこにいるかわからないならば、偽物も纏めて蹴散らす。単純だがラクサスの放つ雷によって驚異的だ。
ラクサスの雷により周囲にいたネロの残像は消え失せて、雷撃でダメージを負ったネロだけが残る…と思っていた。
左右を見渡してもネロの姿が見えないことにラクサスは焦りを覚え、そして先程の攻防でネロが上に移動していたことが頭に過り、上に目を向けた。
そこにはかめはめ波を溜めているネロが上空にいる―――危険だ。

「かめはめ―――!!」

「!!クソ…」

「波ーッ!!!」

気がつくのが遅れたラクサスにその身へ青い光柱が降りるーーが、ラクサスは自身の身に雷を纏わせ、回避を試みる。
そして全速力で回避しようと横へ避けようとし、その光柱に当たらない位置へ移動したラクサスにネロは次の行動を起こした。
まだ上空でかめはめ波を放ちながら――その光柱でラクサスを逃さないように曲がらせた。

「んなッ…曲がるのかよそれ―――ぐあッ!!」

移動を変えたかめはめ波が防御もしていないラクサスに直撃した。
攻撃方向を変えての攻撃、予想もしていなかったその一撃でできた傷を感じながらもラクサスは笑みを浮かべてすぐに立ち上がる。

「あのガキ…さっきと比べようもねえくらいに魔力が上がりやがったな」

「それもそうじゃが…あの二人、実力が近くになったことであの少年の巧みが活かしてきたのう…」

二人の試合にイワンはネロの変化に気づく。先の攻防戦よりも、魔力が上がっていることに。
おそらくさっきよりも10倍くらいか。しかし、だからといってラクサスより格上になったわけじゃなく、やっと互角に近い状態になったのだが。
そしてマカロフは二人の動きを見ながら軽く二人の少年たちを比較してみる。
最初にラクサスはネロと違い、魔力が未だに上であり、何より雷による雷撃が圧倒的だ。
素早く、そして周りを破壊するその威力は自然の雷に近い威力だろう。
次にネロはラクサスと違って、攻撃の一手が確実というべきか。ラクサスよりも出せる格闘技の一撃、そして近接攻撃は確実に相手の体力を少しずつであるが削っている。
ラクサスの長所は魔力の多さと速と力。短所は素人のような動きにまだ実戦経験が少ない。
ネロの長所は洗練された技、そして経験による知識か。短所は速さと破壊力が下と魔力の差。
マカロフはラクサスに魔法と戦い方を教えたが、マカロフはあまりラクサスに実戦経験を与えようとはしなかった。そもそも体が弱かった孫に、すぐ危険なことをさせようとはしないだろう。
甘いが、しかしまだ元は体の弱かった孫。危険なことはできるだけ避けたかったのがこの決勝線で裏目に出たのだ。
だからこそ、ラクサスよりも実戦経験のあるネロが有利に場を運べるだろう。
そしてそれをネロはラクサスとの攻防で気づいたのだろう、ラクサスの単純な攻撃を巧く避け、そして決定打となるカウンターという戦法をネロは選んだのである。ここにでテクニカルの差が出てくる。
だが、それでもラクサスが負けるという未来が存在しないとマカロフは確信している。


かめはめ波が当たったラクサスを視認したネロはすぐさま体制を変え、上空から地上にいるラクサスへ魔力を纏って舞空術の飛行力を上げて突撃する。

「近づけさせっかよ!!」

『ぎゃあ――…』

「…またか…!?」

自分に上空から超接近するネロにラクサスは雷を掌から放って妨害しようとするも当たったのはまたもや残像――既に本物はラクサスのすぐ目の前で屈んでおり―顎を狙って勢いをつけて立ち上がり、右拳を振り上げてアッパーを決め込む。

「――ぐぅ…おおおお!」

「…!?な…ぎぃ…!!」

ネロのアッパーをくらったラクサス、しかしそれでも地面から足を離さず、より一層力を込めて踏ん張ってネロに反撃する。
反撃するその拳に魔力を込められることにより、拳に雷が迸りスピードが上がって更に威力の上がったカウンターパンチがネロに回避する時間を与えない速さでその顔面に直撃した。

ネロは読みが足りなかった。いや、戦闘衝動に呑まれないように理性を保つから必死だろうが、ネロは最後まで気づけなかった。
自身の攻撃を受けても、この少年の背は地面に着いてないことに。
通常の10倍に強くなっただろう己の拳をくらっても、この少年が倒れなかったことに。
この少年、ラクサス・ドレアーはサイヤ人である自分よりも頑丈だということに、気づくのに。
そして、その頑丈な拳を更に魔力、雷のパフ付きの一撃はネロを後ろに下がらせる程の威力だったのか、後方に下がった勢いにより、地面についている二足が少し引きずっている跡ができる。

「くぅ……へへ…効いたぜ…少しだけな」

「こっちも効いたなァ…ほんの少しだけ」

「ウソつけよ、オレのパンチで下がってんじゃねえか」

「ハッ…!下がったからって別にそこまで効いたとか関係ねーだろ!」

「それもそうか」

(…え、納得すんの?)

ラクサスの指摘で情けないながらも意地を張るネロ(精神年齢30歳)の苦しい言い訳を納得する眼の前の金髪の少年に少しだけ毒気が抜けたような顔をするも、すぐに引き締めて次の一手に出る。
構えたネロにラクサスは笑みを深めてその瞬間を待つ。まるで自分に効かないということを確信するかのように。

(野郎…マジで効かねえと確信してやがる…マジで10歳か?これ、ギクリよりも化け物じゃねえか)

これほどまでに差が違うのか、とネロは改めて実感した。
もし、自分がパワーアップしていなかったら…おそらく、大猿の力を解放したところで敵わなかっただろう。
今はやっと互角だが…それでも相手の特性の多さで負けている。
雷を纏うことで得られる自分よりも早いスピード、パワー。そして(魔力)の多さに攻撃をくらっても倒れないタフさ。
どれだけやってもまだまだ自分が劣っていることにネロは理解する。

(けど…やっぱりサイヤ人だからかな、すっげえワクワクしている)

前世の一般人の感性を持っていた自分だったら恐怖で竦んでいただろう、しかし今の自分はサイヤ人。
自身の鳥肌が立っているのを感じながら自分が抱いている感情は恐怖なんかじゃなく、自身よりも上手の強敵と戦える喜びと興奮が今支配している。
それに加え、大猿の力を使っている反動により、戦闘衝動で理性を保つのがやっとだった数時間前の自分が、今ではそれほどに苦じゃない。むしろ戦闘衝動のおかげでいつもの実力をより良く発揮できていると思えた。

「オレ…すっげえ楽しい」

「…オレもだ。だから…とことんやろうぜ」

「もちろん…全力の全力で、ぶっ飛ばしてやる」

「やれるモンならやってみろヨ。その前にオレに倒されてないといいがなァ!」

瞬間、ネロは白いオーラを纏ってラクサスに跳ぶ。
対してラクサスは雷を纏って上空へ、それに続いてネロも追いかけるように跳んでいく。
自身に追い付いてきたネロにラクサスは右フック、その右拳を左手で受け止めて同じ右フックを決める。
ネロの攻撃にピクリも一つもせず、ラクサスは左拳をネロの胴体へ入る。

「ぐふ…!ッ…!!」

「ごぉッ…!!!?」

口から呼吸が乱れるもネロは顔に力を込めてラクサスに頭突きを点く。
丁度当たったところが鼻だったことか、思ったよりもラクサスはダメージを受ける。
たとえタフであったとしても、必ずも体全体が頑丈というわけではない、体のうちのいくつかに脆い点があるもの。
鼻血が出るも構わず、ラクサスは両手に雷を一点に集めてネロへハンマーの如くその両手を振り下ろし、ネロを地上へと吹き飛ばす。
そして追いかけるように重力を逆らって雷と一体化し、地面へ落ちていくネロを追いかけるように最大のスピードで跳んで――

「―――波ああああ!!」

「!!」

落ちていくの構わずネロは両手からエネルギー砲を放ってその攻撃を妨害――とは行かない。
直撃しても雷の勢いが止まらず、地面に着地したネロにそのまま雷は大きくなり、ネロへ落雷した。

「があああああああ!!!?」

雷に打たれる熱量と痺れにネロの外側だけじゃなく、内側にもダメージが通られて耐えられる痛みをオーバーして思わず悲鳴が漏れる。
落雷で実体化するラクサスしてもう一押しといわんばかりに拳一つに雷を疾走らせてネロにお見舞いしようとする。

大猿の力を解放したネロに、野生の勘が告ぐ。というより嫌な予感を感じてまだ痛みが抜けきれない中、ネロは自身に迫る雷の少年の姿が目に入った。
あれは危険だ、次にあれをくらったらタダじゃおかないということが今の体が訴えているように鳥肌が異様に立つ。
どうすればいいか、もう自身の顔に迫る雷撃の拳に対処方を探ろうと脳内を働かせるが間に合わない。

(ヤバイ…やられるッ…!!!)

それでも耐えれるように体内の気を上昇させる…そして雷撃が自身に触れる直前――無意識か、それか己の気を上昇させた影響か、ネロは気を瞬時に限界まで上昇させたことにより、両者の予想つかない結果を作り出した。

「―――ばッ…!?」

「お…おおお…!!!?」

瞬時の上昇による気のエネルギーが偶然にも爆発波エネルギー作り出し、ネロに近かったラクサスを吹き飛ばすほどの威力で一難から逃れる。

「――すげっ…初めて爆発波なんてしたわ…」

自身が偶然に作り出した結果に呆然とするも、できた技に試合の最中だというのに満足するネロ。
距離を取られたラクサスは舌打ちし、もう一度あの爆発波をされないかを注意してネロを睨んでいる。

「まだ手の内を隠してたのかよ…んにゃろう…」

あれほど追い詰めていたというのに、まだまだネロに手札があると勘違いするラクサス。しかし、だとしてもネロがまだまだやれるという事実に興奮が収まらない。喜びが強いのか、サイヤ人のネロに劣らない戦闘への楽しみを増している。
10歳というのに、まさかこんなにも早く戦いへの楽しみを覚えるなんて思わなかったラクサスだが、おそらく根からの戦闘狂質を持っているかもしれない。

「「―――!!!!」」

お互い、警戒態勢から攻防の続きを再熱して拳と足による応酬を繰り返す。
殴り、蹴り、時には絡め技。そして偶に互いで頭突きをする。ただ目の前の相手を叩きのめそうとするその戦闘。
両者はボロボロになりながら、そして血を流しながらも戦闘続行する。
ネロは夢のようなこの瞬間をできるだけ長く体感できるために。
ラクサスは初めて出せる己の本気をぶつけられる相手との戦いを長く楽しむために。
どちらにせよ互い互いにこの戦いを楽しみ続けるために、相手との”戦い”を中断せずに続けていく。
しかし、決定的に不利なのはネロだ。持てる力の全てと技を出しても尚、ラクサスは倒れず、疲労の顔を見せない。
ここでラクサスは自身のタフネスさが輝いている。体が強くなったことからか、それとも前の時代で最強生物の魔水晶(ラクリマ)の影響か、もはや体の弱かったラクサスの面影などない。

―――雷電を纏って相手を倒す。技術が相手の方が格上?知ったことではない。ならこっちは大人顔負けの魔法でただ叩きのめすだけだ。
勝つのは自分だ。

そう断固なる自信を胸にラクサスは慣れていなかった接近バトルをし―――そして学習する。
相手をどこぶちのめせばいいのか、何をすれば相手が怯むのか。どんな動きが最適なのか。
ここでラクサスは秘めている才能が顕になる。
祖父から受け継いでいる魔力の多さ、そして生来の戦いの才能がラクサスを次のステージまで昇らせる。
最強生物――”(ドラゴン)”の力の逆鱗が顕れる。

「”雷竜のォッ!!”」

「!!?」

膨大な魔力が爆発的に上がった、そう感じたネロは自身を軽く超える魔力量に怯んだことで空きが生まれてしまった。

「な…ラクサスのヤツ…もう使えるのか!!?」

イワンは確かに、体が弱かったラクサスに魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ。それがどういうモノなのかを理解して。
だがそのラクサスはついこの間までは(ドラゴン)の力を完全に解放することができなかった。まだ体がそれに適応が完全じゃなかったはず―――。

(我が孫ながらも…末恐ろしいのぅ…)

隣にいる父であるマカロフはその未来が見えたのか、背筋を震わせていた。しかし、顔には嬉しそうに笑みを浮かべて。
さっきの殴り合いで傷を作っていくラクサスに若干ハラハラと落ち着かないで見ていたが、次第に手に汗を握るように試合を観戦するようになった。
自分の孫が成長するさまに、そしてサイヤ人の少年と繰り広げる試合に目を離さないでいる。
そして今、―――孫が限界を超える瞬間を目にする。

「”咆哮ォ―――ッ!!!”」

そしてここに雷竜は誕生し…全てといってもいい程の魔力が籠もったその雄叫びはその地域すらも覆い尽くす程の雷電が少年を襲いかかる―――!!

「チィッ…!!!」

その咆哮から逃れようとしたネロは飛び上がるが変わらずその電撃はネロへ突進する。竜は狙う人間に慈悲など存在せず、ただその一撃は破壊をするために存在する。

「お…おおおああああああああああああッ!!!?」

その巨大な力にネロは為す術もなく、何せ自分を大きく超える力の前に抵抗もできない。逃げようにもその魔法はは大きく、避けるにしても距離を取る時間も、動作が許されない。
ここに、ネロは確かにもうすぐ来るだろう己の未来を、敗北の未来が迫ることに実感する。
諦めの感情が顔に表れる、ことはなかった。
その様は駄々をこねる子供のように。

(まだ、まだ戦いたい。もっと戦闘を、この戦いを)

(終わりなんて嫌だ、更に戦いを。負ける?勝つ?どっちでもいい。いや勝ちたいけど…それよりもまだこの戦いを――感じてくる可能性にまだ手を伸ばしきれてないんだよこっちは!)

サイヤ人の細胞がすぐ近くにその先があると言っているのだ。その先の前で立ち止まる等しない。したくないんだ。
今、この戦いで近づいてきたソレに手を伸ばせるなら―――。

そして、ネロの姿は――竜の咆哮の中へと姿が消えていく―――

「――お―――おお―――!!」

ネロが意識を失う刹那、彼の中の化身は咆哮を上げる。
それは未熟で、まだ成り切れなくとも、潜在意識に眠る黄金が呼びされたと気づかずに。


★★★★★★★

(フゥ…間に合ったわい)


マカロフは準決勝みたいに、しかしその時に張った魔法の障壁よりも数段高い防御力を増す魔法で観客席や外に出ているクロッカス武道会のスタッフたちを守り抜いていた。
そしてラクサスの咆哮で周りの被害をその魔法壁で防いたことにより、怪我人を0へと収めることができたのである。
伊達に聖十大魔道(せいてんだいまどう)の名を背負っていないマカロフ。そして次に試合の様子へ目を向けると、場内にいるのは肩で息をする自身の自慢の孫であるラクサス。
対戦相手であるサイヤ人の少年、ネロはどこにも見当たらず。そして最悪の結末が脳に過り周りを見渡す。そしてどこにもない姿に焦り―――ふと、上空へめを向けると目を大きく見開いた。

最悪の結末が回避されたことに安堵するも、その姿に驚愕する。その少年が纏う魔力の色が变化していることに対して一番に驚きである。

「―――まさか、あの年で…?」

両手を交差して耐えたのだろう顔の前へ持っていた両手を解き、少年―ネロは赤い目から白目へと変わり、纏うそのオーラは白から黄金へと変貌していた。
その姿はまるで戦闘民族に伝わる伝説(・・)に近い姿の少年に、思わず固唾を呑んで見守る。

「…へへ…そう…こなくちゃ…な…」

自身の最大の魔法を防がれたラクサスはまだ無事だったネロの姿に苦笑いに似た笑みを浮かんで上のネロを見つめる。

(もう…魔力がすっからかんだ…体を動かす気力もねェ…どうする…?)

震える指先に力を込めようとするラクサス。しかしうまくいかず。
対しネロは黄金のオーラを身に纏いながら地上へ降り―――そしてオーラが消えた途端に力が尽きたように前へ倒れた。

「……は……?」

目の前の対戦相手が突然倒れたことにより、ラクサスは一瞬呆然とする。
なにせ、まだまだやれると思った相手がもう魔力が少ない自身よりも先に倒れたのから。

「…スタッフ」

「え…あ…!」

呆然と試合の行く末を見守っていたアナウンサーにマカロフは声をかけるとアナウンサーは我に返り、そして自身の仕事を再開する。
といっても、やるのは多くない。
アナウンサーは場内に入り、倒れているネロの状況を確認して―――告げた。
この決勝戦の勝者を。

『えー…ネロ選手、気絶により…決勝戦で勝利を無事、収めたのは―――ラクサス・ドレアー選手!!』

呆気なく終わった決勝戦、だが一番決定づくのは…立っている者と、立っていない者。勝者はずっと場内に立ち尽くしていたラクサス・ドレアー。
これにより、クロッカス武道会の幕は閉じられるのであった。


 
 

 
後書き
 
※ラクサスの強さについて。
原作じゃ強いのなんの。初期でも竜迎撃用の魔道士二人に攻められても立ち上がるタフネスさに強力な雷撃を放つ雷の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)。尚、初期に滅竜魔法を使う時に肌が若干鱗が出たり、歯が牙に変形したりしたが悪魔の心臓編では滅竜魔法使ってもその変化が起こることがなくなっていた。

今作ではまだ10歳で登場。イワンに魔水晶を埋め込まれて数年経った後のラクサスとして設定。
最初はただ雷の魔法や魔力を酷して、最後に滅竜魔導士として覚醒する展開になりました。
因みに今作ではタフネスさをできるだけ表現したつもりです(死んだ目)

※実況について
忘れていた(白目)

※イワンパパは優しいの?
ただの気まぐれみたいな感じです。最初はツンデレなオヤジにしようかと思いましたけど…それは追々に。
因みに終盤じゃ空気と化したパパですが、現在はネロの変化に興味がある様子。

※マカロフ爺の言った伝説
察しの言い方の想像通りです。

※滅竜魔法の魔水晶について
原作でも同じように滅竜魔法の魔水晶を7つも埋め込んだ人物が存在しており、恐らく滅竜魔法の魔水晶に一つの属性が備わっていると推測できる。…それか、埋め込まれた人間に宿る属性によってその属性魔法が決められているかもしれないが。今作では後者に、魔水晶を埋め込まれた人間が元々持っているその属性で滅竜魔法を酷使できることにします。
ということで、大陸残念な1位さんに拍手。アンタは規格外だよ…まぁラスボスに一瞬で倒されたりするがそこは触れないであげて(迫真)

※編集について5/24
誤字とか、そして貝殻自身が感じた違和感とかあったので少し編集しました。


★☆次回予告☆★

ハバネロ「…ラクサスとの決勝戦で破れたオレ氏」
雷「派手に終わるかと思ったら地味に終わった決勝戦。だがそれじゃオレは納得できない」
ハバネロ「納得しないラクサスと何故か一緒に居たオレに、ラクサスの祖父であるマカロフがある提案をする」
雷「その提案はある意味、オレたちの人生を決定づける選択肢…そして、オレの望んだ願いが叶える選択肢でもあった…。そしてその時ハバネロの返答は」
ハバネロ「一旦実家に帰らせていただきます!!」

「「次回!妖精のサイヤ人!!」」

「第八話:もっと遥か高みの為に、帰宅するサイヤ人」

???「あ、出番ですか??」

ハバネロ「姉さん…お話ししようやァ?」

 
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