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いつもと違って

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第一章

               いつもと違って
 沢村真理子はきつい目で茶色の髪を無造作な感じで伸ばしている、紺のブレザーとミニスカート、白いブラウスと赤いリボンの制服の着こなしはラフで如何にも柄が悪そうだ。唇は薄く眉も吊り上がっている。そして外見そのままに。
 周りにも柄が悪い、口調も悪いので尚更だった。
「あんたその柄の悪さ何とかならないの?」
「その口の悪さも」
「何時も思うけれど」
「どうなのよ」
「そう言われてもよ」
 真理子はその悪いと言われている目つきで述べた、声も低めで何処か男っぽく如何にもという感じだ。
「あたしの家親父があれだろ」
「建築業っていうのよね」
「肉体労働で」
「趣味はバイクとお酒で」
「お母さんも元々雀荘の娘さんで」
「今も雀荘で働いてて」
 ギャンブルの場でそうしていてというのだ、所謂実家の手伝いをしているのだ。
「柄の悪い場所で育ったから」
「そうだっていうのね」
「もうそれは仕方ないだろ」 
 こう言うのだった。
「もうな」
「そう言うけれどね」
「あんたの家庭のことはわかったけれど」
「女の子なんだし」
「もっと女の子らしくしたら?」
「正直スペック悪くないわよ」
 外見はそうだというのだ。
「お肌真っ白で奇麗だしね」
「スタイルはいいし」
 胸はあまりないが全体的に均整が取れているのだ、胸もお尻も形はいいしウエストは引き待っていて足はかなりのものだ。
「背もそれなりだし」
「一五九位よね」
「それ位だったらね」
「まあ低くないし」
「女の子は小柄でも人気あるっていうけれど」
「口はそうでも性格も悪くないし」
 今度はそちらの話をした。
「面倒見いいし困った人は放っておかないし」
「義侠心がある感じよね」
「曲がったこともしないし」
「親父もお袋もそこは厳しいんだよ」
 だからだとだ、真理子は話した。
「それであたしもだよ」
「そうしたことは守ってるのね」
「曲がったことはしない」
「面倒見よくて困った人は放っておかない」
「そうした人なのね」
「そうなのね」
「そうだよ、本当にな」
 そうしてというのだ。
「人間柄は悪くてもな」
「心まで悪くなるな」
「そう言われてるのね」
「真理子ちゃんにしても」
「あたし自身道に外れたこと嫌いだしな」
 自分自身でもそこは断った。
「煙草もシンナーもしねえしいじめもカツアゲも万引きもな」
「一切しないわよね」
「部活のバスケも頑張ってるし」
「いつも清潔にしてるし」
「実は料理上手でね」
「お裁縫も得意だし」
 女子力も備えているのだ。
「まあお勉強はあれだけれど」
「それでもね」
「基本スペック高いし」
「後はその柄と口の悪さなおしたら」
「そうしたらいいのに」
「もうその二つは勘弁してくれよ」
 どうしてもとだ、真理子は友人達に言うのだった。 
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