一緒にいられるから

　　　　　　　　　　　　　　　一緒にいられるから
　二階堂浩一はその話を聞いてすぐに顔を顰めさせて言った。
「ブリヤードって大きいだろ」
「ええ、身体の毛がむくむくとしていてね」
　妻の青空が夫に話した、丸い目で色白で赤い唇は少し大きい。少し家鴨に似た感じの顔で黒髪を短くしている。
「三十キロ以上あるわよ」
「そうだな」
「大きさは一メートル位あるかしら」
「そんな犬が二匹も公園にいたのか」
「公園のごみ箱の中にいたらしいわ」
　妻は夫の痩せた顔を見つつ話した、卵そのままの形の顔であり髪の毛はその頭にくっついている感じだ。目は小さめで丸く身体も痩せていて背は一七〇位だ。
「何でも」
「絶対に捨てられたな」
　夫はごみ箱の中にいたと聞いて確信した。
「普通はな」
「ワンちゃんそんなところにいないわね」
「二匹もな、しかも大きい犬だぞ」
　ブリヤードはというのだ。
「相当酷い飼い主でな」
「それで」
「捨てたんだ」
「酷いお話ね」
「全くだ、それでか」
　夫は犬を捨てたという話とそれを行った輩への怒りを見せてからあらためて言った。
「その子達のことをか」
「ツイッターで保健所が里親募集していたのよ」
「そうなのか」
「何でも兄弟らしく身体の大きさも外見も毛色もそっくりで」
　それでとだ、妻は夫にさらに話した。
「お互いに寄り添い合って離れないらしいわ」
「じゃあ引き取るならか」
　夫は妻の話を聞いて言った。
「二匹一緒にか」
「そうなるって保健所の文章に書いてあったわ」
「ブリヤードは大きいからな」
　夫はここで考える顔になって述べた。
「一匹でも散歩とか大変だしご飯も結構食べるな」
「ご飯はドッグフードだから」
「そんなに食べないでお金もか」
「かからないわよ」
「じゃあ散歩の時二匹一緒なだけか」
「そうね」
「それ位ならいいか、じゃあ明日な」
　夫は早速という口調で妻に話した。