ヘタリア大帝国
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TURN34 開戦と共にその七
「マリーさんは女王さんのところにいてくれよ」
「僕もね。ちょっとね」
「ちょっと。何だよ」
「東洋には祖国さんとネルソンさんが行ってね」
まずは東洋から話す。
「それで北アフリカは妹さんとモンゴメリーさんよね」
「ああ、そうだよ」
「南アフリカ方面には誰もいないわね」
「今は戦場にはなっていないからな」
「あの辺りのことも考えていかないといけないよね」
「そうだが今は特に誰も行かなくていいさ」
イギリスはこうマリーに告げた。
「あくまで今のところは、だけれどな」
「そうなのね」
「ああ。とにかく今は東洋と北アフリカだ」
その二つの星域での戦いが大事だというのだ。
「ドクツの主力は確かに大人しくなったけれどな」
「あの連中またすぐに来ると思ったけれどね」
エイリス、当然マリーもそう見ていた。だが、だったのだ。
ドクツ軍はロンドンに攻めて来なかった。このことはエイリスには少し妙なことだった。
だがここでだ。エルザがこう一同に言ってきた。
「ああ、多分ドクツはね」
「お母様、何か知ってるの?」
「ええ。レーティア=アドルフの著書に書いてあったけれど」
それを読んでの話だというのだ。
「あの娘は東方にゲルマンの生存圏を確保するって言ってるわね」
「ドクツから見て東方っていうと」
「ええ、今はソビエトよ」
かつてのロシア帝国、今はその国だというのだ。
「あの国への侵攻を考えているのでしょうね」
「えっ、ソビエトへの侵攻って」
それを聞いてだ。マリーは思わず声をあげた。
「相当凄いことだけれど」
「そうね。ドクツにとってはね」
「だからなの。今ロンドンに来ないの」
「多分ドクツは今東方侵攻作戦の準備にかかっているわ」
エルザはこう次娘に話す。
「それでそのうえで」
「ソビエト侵攻なのね」
「そう考えていると思うわ」
「ううん、何か凄いことになりそうね」
東方もだとだ。マリーは言った。
「けれどソビエトまで併合したらドクツ凄いことになるね」
「そうですね。ただ」
ここでだ。イギリス妹がマリーにこう言った。
「ドクツとソビエト、両大国の正面からの全力での衝突です」
「両方共、なのね」
「唯では済みません」
両国共かなりのダメージを受けるというのだ。
「同じ連合国ですがやはり」
「そうよね。ソビエトはね」
「敵です」
イギリス妹の言葉は今は極めて冷徹なものだった。
「共有主義は。私達にとって」
「僕達って資産主義だからね」
そうなるのだった。エイリスもまた。
「私有財産もあれば資本家もいてね」
「むしろ資産主義が我が国からはじまりました」
「それに貴族制度もあるし」
「ソビエトにとって敵であることは間違いありません」
「僕達にとっても」
「だからこそ。ソビエトとドクツが争うならば」
「僕達にとって好都合ってことだね」
マリーはイギリス妹の考えを完全に読み取っていた。そのうえでの言葉だった。
「そういうことだね」
「いささか以上に冷たい言葉でしょうが」
「けれどその通りだね」
「そうです。やはりソビエトは我々にとってドクツと同じく脅威です」
イギリス妹はまた述べた。
「彼等が争うならばまさに二匹の獣が争うもの」
「争ってもらってそうして」
「生き残った方を倒すべきです」
「そうだね。それがいいよね」
マリーもまた王族だ。それ故に政治というものに関わらなくてはならない。彼女はここでは政治的に考えそのうえで政治的に述べたのだった。
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