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ヘタリア大帝国

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TURN33 マニラ攻撃その五

「あまりいい配置じゃないがな」
「しかしハワイから反撃するにはいいな」
「ああ、それぞれの星域に然るべき提督を置き撤退戦の指揮にあたらせる」
 ダグラスは強い、鋭い目になりアメリカに答える形で述べた。
「そうして撤退戦を出来る限り無傷で行わせ」
「ハワイに入るんだな」
「ハワイさえあれば反撃は容易だ」
 ガメリカにとってまさにハワイが重要拠点だった。太平洋最大の軍事拠点なのだ。
「そこまで退く」
「よし、それじゃあそうしよう」
「撤退を急がせろ!」
 ダグラスはあらためて指示を出した。
「出撃できる艦隊は出撃しろ!敵の動きを食い止めて撤退の援護をしろ!」
「よし、今から!」
「行くね!」
 フィリピンとララーが出た。彼等の艦隊が出撃する。
 しかしここでだ。二人はこう言うのだった。
「ただ。急な出撃で奸智絵の整備も不充分だからね」
「艦載機とビームは使えないわよ」
「何っ、駐留艦隊全体がか!?」
 これにはさしものダグラスも驚きを見せる。
「ちっ、何でそうなったんだ」
「ううん、何しろ敵の先制攻撃が宣戦布告直後と思ってなかったから」
「コンピューターのコントロールにもかけてないのよ」
「勿論攻撃要員や整備要員の配備も不充分だよ」
「ミサイルとか鉄鋼弾は何とかなるけれど」
「参ったな。まずは殴られ放題か」
 ダグラスはフィリピンとララーの話を聞いて苦い顔になる。
「洒落にならないな」
「しかしやるしかないぞ」
 そのダグラスにアメリカが言う。
「皆を撤退させようと思うんならな」
「ああ、数だけはこっちが勝ってる筈だ」
 ガメリカ軍とフィリピン軍を合わせて五十個艦隊だ。それだけの艦隊が駐留している。
「だが艦載機だけ、ビームだけの艦隊はな」
「そうした艦隊はだな」
「的になるだけだ。早くハワイに逃げろ」 
 撤退しろ、そう言うのだった。
「とりあえず戦える艦隊だけが出る」
「わかった、じゃあそうしよう」
「さて、キャシーが戻ればな」
 その時にだ。どうするかというのだ。
「反撃だ。ああ、あんたはな」
「はい」
 その哨戒に出ていて日本軍を発見した提督にも言う。提督もそれに答える。
「ビームだけか?艦隊の兵器は」
「いえ、駆逐艦で主に編成されているので」
「鉄鋼弾での攻撃もできるか」
「とりあえずは」
「しかし駆逐艦だとな」
 どうかというのだ。それだとだ。
「耐久力が低い。今攻めてもやられるだけだ」
「では」
「一旦退け。艦隊を集結させる」
 戦える艦隊をだ。そうするというのだ。
「わかったな。それじゃあな」
「了解しました。それでは」
 こう話してだ。そのうえでだった。
 ガメリカ軍は大急ぎで出撃して戦えない者達を何とか撤退させる。即座にだ。
 ガメリカ軍の動きは急に慌しくなった。その中でだ。
 キャシーは自分の旗艦の艦橋に入った。しかしその服装はというと。
 軍服ではなかった。あの上に羽織っただけのものですらだ。今の格好はというと。
 黒のワンピース、胸と腰のところがかろうじて一枚でつながっているだけのビキニよりも露出が多いのではないかという水着姿だった。身体のラインも露わだ。
 しかもその足にはサンダルだ。完全に今までビーチにいた格好だった。その格好の彼女を見てだ。 
 艦橋のスタッフ達も驚きながらだ。こう彼女に言った。
「あの司令、せめて」
「ああ、軍服位っていうんだろ」
「はい、そうですここは」
 こう言うのだった。
「せめて上だけでも」
「わかってるさ。じゃあな」
 キャシーは早速司令の椅子にかけてあった軍服の上着を羽織った。そうして。
 持っていた半ズボンもはいてだ。何とか普段に近い格好になってから言うのだった。
「バトルだな。楽しむぜ」
「しかしそれでもです」
「今の我が軍は艦載機とビームが使えません」
「そして敵はおそらくその両方を使えます」
「魚からのものにしても」
「ちっ、整備やコントロールが間に合わないんだね」
 このことはキャシーもすぐに察した。伊達に提督ではない。
 
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