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ヘタリア大帝国

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TURN32 奇襲その七

 だが実際に彼は生きている。その彼が言うのだった。
「大丈夫だ、僕の傍にいれば死ぬことはないさ」
「ちょっと離れておいた方がいいよな」
「ああ、これはな」
「危ないな」
 兵士達は本能的に危険を察してだった。そのうえで。
 ネクスンの周りから消えて海に入った。そうして泳ぎはサーフィンを楽しむことにしたのである。
 その彼等を見ながらだった。ネクスンは店で買ったコーラをビーチで飲みはじめた。彼もまたバカンスを楽しんでいた。だが、だった。
 ここでだ。不意に空から何かが来た。それは。
「?何だありゃ」
「航空機か?」
「そうじゃないのか?」 
 何か黒く小さなシルエットが見えた。それも幾つもだ。
 その何かがガメリカ軍の基地に向かって飛んでいる。ガメリカ軍の兵士達はそれを見て言うのだった。
「航空部隊の演習か?」
「今のうちに休んでおけばいいのにな」
「飛行機乗りってのは真面目だよな」
「演習ばかりしてるな」
 彼等はこう考えた。だが、だった。
 それは魚達にだった。それに加えて。
 航空機もあった。その航空機に乗っているのは日本軍のパイロット達だった。
 彼等はガメリカ軍の基地に向かいながらだ。極秘無線を使ってこう話していた。
「よし、まだ気付かれていないな」
「そうだな。ガメリカ軍は油断しきっているぞ」
「我が軍の奇襲は成功か」
「今のところはな」
「いいか、一気に攻撃を仕掛けるぞ」
 彼等に艦隊司令である山本が言ってきた。
「それは御前達にかかっているからな」
「はい、わかっています」
「まずは航空機で一気に叩いてですね」
「このマイクロネシアを占領する」
「電撃的に」
「折角平賀の長官から試作空母を貰ったんだ、効果的に使わないとな」
 あの空母が遂に完成したのだ。そして山本の艦隊に配備されたのだ。これまで日本帝国軍は航空機も空母も実は魚のそれだった。だが平賀はその魚やガメリカ、エイリスの空母を研究して。
 遂に試作型だが空母を完成させたのだ。そのうえでだったのだ。
「派手にやるぞ、この博打な」
「うむ、そうしよう」
 柴神も言ってきた。見れば。
 彼もまた航空機に乗っていた。ちゃんと飛行服も着ている。
 そのうえで自ら航空隊を率いながらだ。こう山本に言うのだった。
「試作型空母が二隻ありよかった」
「そうですな。こうして柴神様も乗れますからな」
「全くだ。ではだ」
「はい、ここは頼みます」
「そちらはガメリカ軍の艦隊を叩いてくれ」
 まだ港に駐留しているそのガメリカ艦隊をだというのだ。
「マイクロネシアは一気に占領しよう」
「そうですな。それでは」
 山本は笑顔で応えた。こうしてだった。
 日本帝国軍はバカンス中のガメリカ軍に対して今まさに奇襲を仕掛けようとしちえた。その中で。
 ネクスンは自分の携帯が鳴ったのを聞いた。それを受けてだ。
 携帯を取り出すとだ。自分の乗艦の当直士官が出て来た。
「一体どうしたんだい?」
「閣下、一大事です」
 聞けば当直士官の声は強張っていた。
「我が国は戦争状態に突入しました」
「遂にかい」
「はい、そしてです」
「そして?」
「日本帝国軍が宣戦布告してきたのですが」
「それは僕もわかるよ。あの国しか戦争を仕掛けてくる国は今はないからね」
 ガメリカにとってという意味だ。
「当然のことだね」
「そして今我が艦隊は」
 当直士官は言ってくる。
 
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