おぢばにおかえり
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第五十七話 卒業式その十八
「体罰とか指導とかじゃないですから」
「それでも殴ったり蹴ったりは駄目だしね」
そもそも体罰自体がです。
「床の上で背負い投げは確実に暴力だし」
「暴力が許される世界にいたら下手したら自分が一生消えない傷をうけますよ」
怖いですが本当のことです、それがヤクザ屋さんの世界ですし。そしてそんな世界にまともな人が集まる筈もありません。
「汚い場所には最初から寄らないことです」
「そう思ってからなのね」
「もう部活は入らないと決めていますから」
どうも阿波野君は頑固です、今お話を聞いて思いました。
「中学一年の五月から」
「入部する前になのね」
「たまたまバスケ部に入ろうと思って見学に行きまして」
バスケなら阿波野君に似合うと思いました、すらりとして背が高いからです。ただスタイルだけを見て思ったことですが。
「体育館で観まして」
「剣道部のことを」
「それで決めました、こんな暴力受けるなら部活しないって」
「どの先生も止めなかったのね」
「そうなんですよ、少し唖然として見てて先輩達も茫然となってましたけれど」
「普通そこで通報されるけれどね」
暴力の場面を動画サイトにアップされてです。
「ヤクザ屋さんの事務所の中でもあるまいし」
「そういうことが許される場所なんて入らない方がいいですから」
「だから部活は今もなのね」
「入らないことにしています」
「もう絶対にって決めてるのね」
「そうです、それで他のことを楽しんでます」
ようぼくコースやおぢばの各所に行ったり回廊ひのきしんをさせてもらたりと、というのです。
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