ようこそ、我ら怪異の住む学園へ
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其の壱 四番目の鬼神様
第四話 運命の赤い糸
風に乗って、可愛らしい桃色の花弁が舞い落ちる。
その中で、二人はお互い見つめ合い、そして———
「好きです。四番目の……鬼神様」
『私もだ』
告白をした。
その瞬間、両方の小指に赤い輪っかが出来上がる。
それは繋がっていて、まるで運命の赤い糸のように見える。実際、そうなのだが。
「さて……これで終了だ。後は私が解決しておこう。協力、感謝する。元宮少年」
ニコリと大きく笑った四番目に、元宮は疑問を覚える。
「え……これで終わりなんですか? というか、なんか濃くなってません?」
先程まで、四番目は消えてしまいそうなほどに薄く、声も小さく聞こえた。
だが、今では濃くはっきりとしているし、声だって図書室に居た時か、それ以上に大きい。
一体、どうしたのだと元宮は首を傾げる。
「それはそうだろう。君と私はこの桜の“怪異”によって、赤い糸つまり運命で結ばれた。
だから、君から見れば私は人間同然の存在になったはずだ」
「説明してなかったな、すまない」と付け加える四番目だが、既に元宮にはそれは聞こえていないようで。
元宮は自分の指に巻き付いた赤い糸と、四番目の指に巻き付いた赤い糸を見比べる。
そして、「運命で結ばれた」というセリフを何度も何度も頭の中で繰り返す。
それは当然のこと。
突然相手から「私達ガチで運命で結ばれたよ〜」なんて言われたら、誰でも驚くし、相手の頭を心配する。
だが、実際に元宮は赤い糸が見えてしまっている以上、相手の頭を心配するなんてことはしない。
自分でそれを理解して、驚きを隠せなくなる。
やがて、元宮は顔を真っ赤にしながら俯いた。
「それにしても、君はこの赤い糸が見えるのだな。呪いが効果を発揮している時以外でも見えるものは数少ないと聞く。君は珍しい存在だ。ふふ、やはり君は面白いなあ……って、聞いているのかね」
「バカァァァァアアアアアアアアアアア‼︎‼︎」
急に叫んだ元宮に、四番目はギョッとする。何やってんだこいつ、と。
「なんでそんな大事なことを! 僕だって男子高校生なんですよ⁉︎ 彼女とキャッキャウフフしたいお年頃なんですよ彼女いないけど‼︎ 好きでもない人と運命で結ばれる⁉︎ しかも相手は幽霊でしかも人殺しの悪鬼⁉︎ なんで僕がそんなことに———」
『“好きでもない相手”……ですって?』
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