八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百五十七話 イタワッチさんの好きなものその十二
「どうも心は女性で」
「同性愛者だったのよね」
「そうなんだけれど」
「その小説では」
「女性を好きな風にね」
そうした風にだ。
「書いてそれで亡くなった」
「そう書いていたの」
「そうだったんだ」
その作品を読むとだ。
「これがね」
「事実は同性愛なのに」
「森鴎外は長州藩に近かったけれど」
元々の生まれは島根だった、それで山縣有朋に取り立てられた人だった。
「そのせいかね」
「同性愛については」
「理解出来なかったのかもね」
「そうだったの」
「同じ日本人でもね」
「そこは意外ね」
「うん、まああの人極端なドイツ崇拝だったし」
ドイツ留学の結果としてだ。
「ドイツはキリスト教でね」
「同性愛には厳しいわよね」
「当時は犯罪になっていた国もあったから」
イギリスがそうだった、それでオスカー=ワイルドは牢獄に行ってすっかりしょげかえって大戦中もとても優秀な人が逮捕されてもいる。
「昔は火炙りになったとかの」
「重罪だったのよね」
「イスラムでも厳しいよね」
「相当にね」
イタワッチさんも否定しなかった。
「そうよ」
「そうだよね」
「それで鴎外さんは」
「元々その土壌があまりないところの出身で」
それに加えてだ。
「ドイツ留学もしたし」
「それでなのね」
「同性愛についてはね」
「関係のない人だったのね」
「そうだったんだ」
「それでそういう風に書いたのね」
「バイエルンの王様もね」
ルートヴィヒ二世もだ。
「そうかも知れないよ」
「そうしたこともあったのね」
「あとシーボルトさんと娘さんのこと紹介しているクラスもあったけれど」
確か商業科の方にあった。
「シーボルトさんそのバイエルンの人だから」
「じゃあ」
「王様のこともね」
「ご存知だったのね」
「まさにその時代の人だったから」
シーボルトさんの晩年がルートヴィヒ二世の若き日と重なるのだ。
「お会いしたこともね」
「あったことは」
「間違いないよ」
「意外な接点ね」
「そうだよね、僕もこのことを知った時は」
シーボルトさんがルートヴィヒ二世と同じ時代の人と知ってだ。
「意外に思ったよ」
「世界って狭いわね」
「西郷さん幕末でプロイセンとフランスが戦争するって知ってたし」
「普仏戦争ね」
「そうなれば日本にも影響あるとかね」
「考えていたのね」
「そうしたこともあったんだ」
あの戦争は日本にも伝わって影響を及ぼそうとしていたのだ。
「実はね」
「それも面白いわね」
「遠いところの戦争と思っても」
当時日本から見て欧州は遠い果てのことだった、そして欧州から見て日本もそうであったのだ。船で長い時間をかけて行く場所だったのだ。
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