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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 ーそれぞれの愛情ー

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クラス代表決定戦 神鬼大和vsセシリア・オルコット

 
前書き
よろしければ感想お願いします。なお近々オリキャラ募集を行いますので興味のある方はお知らせ下さい 

 
クラス代表決定戦開幕を直前に控えたアリーナには特別席が設けられ生徒達の歓声などで溢れ返っていた。群衆の中には生徒だけではなくIS学園の教員も皆集結している。たかがクラス代表決定戦にこれだけのギャラリーが集まるのはこれが学園内で見る世界で二人目の男性操縦者の神鬼大和の初陣だからだ。
生徒達の興味はおそらく単に大和が男だからだけであろう。しかし千冬を含む全ての教員は大和の実力に興味を持っていた。

「…いよいよですね。神鬼君の初陣」

千冬の隣に座る眼鏡を掛けた女性、山田麻耶が千冬にそう呟いた。大和のクラスである1年1組の副担任である彼女もやはり彼の実力には興味があるようだ。

「あぁそうだな。さて一体どれほど成長してるのか楽しみだな」

「織斑先生、神鬼君とお知り合いだったんですか?」

「まだあいつが餓鬼の時からの知り合いだ。まぁ今でも餓鬼だがな」

そう言って千冬はおそらくもうじき姿を見せるであろう大和の昔を思い出す。

「どんな子だったんですか? 神鬼君は」

「今と大して変わらん。生意気でわがまま、その上すぐに無茶をする困った餓鬼だ。しかし……」

千冬は一呼吸を置いた。

「誰よりも優しかったのは今と変わらん。それに戦闘センスは本物だ。紛れもなくあいつは天才だ」

そう言い終えたのと同時に、アリーナに歓声が鳴り響く。グラウンドに目を向けると金髪の少女のセシリア、そして茶髪のオッドアイの少年の大和が姿を見せていた。

「いよいよだな。お前の成長を見せてもらうぞ? 神鬼…」







グラウンドに出た大和はゴキゴキと首を鳴らす。余程自信があるのか、それとも単に何も感じない馬鹿なのか、大和の表情からは異常なまでの余裕が感じられる。

「…随分と余裕ですわね」

セシリアも感じたのか、鋭い目で大和を睨みながら言った。

「そォか? オレはいつでもこんな感じだぜ?」

「…昔から」

「あァ?」

「昔からその余裕が気に入りませんの!!」

セシリアはこの歓声の中でも聞こえるぐらい大声でそう言った。その表情は怒りで満ちておりワナワナと肩が震えている。

「いつもいつも…そうやって余裕を見せて、何でも最初からわかってる態度を取って……! 不愉快なんですの!!」

「…オイオイ、そりゃねェぜ。つーかお前って自信家がタイプじゃなかったっけ?」

「貴方の場合は自信を通り越して傲慢です。生憎ながら傲慢は嫌いですので」

そう言い終えると、セシリアはISを起動する。全身青色にカラーリングされた彼女の専用機、『ブルー・ティアーズ』が巨大なレーザーライフルを構えていた。

「大和さん、幼い時から貴方には何をしても勝てませんでしたが…今日私は貴方を超えます……!」

「…そォかい。それは楽しみだなァ…」

大和の左手の指輪が光り、ISが発動する。

「あ、あれが神鬼君の……」

観客席からその様子を見ていた山田は初めて見る彼のISに感嘆の声を漏らす。それを聞き取った千冬が静かにこう言った。

「そうだ。あれが世界で二人目の男性操縦者、神鬼大和のために作られた機体……バルバ
ドス・フルセイバー…」

背中に付く巨大な赤い翼が特徴的なISを身に纏った大和が静かに言う。

「バルバドス、圧倒的な勝利へとオレを導け…」







イレギュラー1 『戦場を舞う赤い翼』

大和は翼を展開すると一気に宙に舞う。展開された翼からは赤く輝く大量の粒子が放出されアリーナにいる全ての者を魅了する。

「手加減なしって言ったよなァ!! なら最初から飛ばして行くぜ!」

大和は素早くビームライフルを両手に出現させるとセシリアに向かって連射する。セシリアも素早く反応し、ビームを躱すと巨大なレーザーライフル 『スターライトmkIII』を放つ。

「ハンッ! 遅ェ遅ェ。んなスピードじゃ百年経っても当たんねェよ!」

セシリアの倍以上の速さでレーザーを躱すと彼女の後ろに回り込み再びビームライフルを放つ。

「余計なお世話ですの!!」

セシリアも大和の動きを読んでいたのか、後ろに振り返ると慌てることなくレーザーでビームを相殺する。

「相変わらず速いやつだ……」

戦況を見詰める千冬がポロリと零した。

「確かに神鬼君、すごく速いですね。オルコットさんもなかなかですが神鬼君はそれよりも数倍は速い気がします」

「実際にスピードは上がってはいる。だが我々の目には実際に出ているスピード以上に速く感じているんだ。それがあの光の翼の利点だ」

「光の翼、ですか?」

「正式名、ミラージュコロイドジャミングシステム。コロイド粒子はステルス効果があるのだがあの機体のミラージュコロイドにはその機能がない。代わりに散布した粒子に自機の残像を映し出すことでジャミング効果を生み出している。だから今オルコットの目には実際以上のスピードで神鬼が戦っているように見えているのだろうな」

千冬の言う通り、セシリアの目には大和が実際以上に速く移動しているように見えていた。ハイパーセンサーで大和の位置は確認しているのだが視覚で追うことが出来ないのでレーザーライフルの狙いが定まらないのだ。

(クッ! 速すぎて狙いが定まりません…!)

「目で追ってるよォじゃオレを捉えることは出来ねェぜ?」

大和はビームライフルを放つ。反応の遅れたセシリアは完全には躱すことができず、左肩をビームが掠めた。

(このままではいつか捉えられる…! ここは一旦ーーー)

「距離を離して、だろ?」

「ッ!!??」

まるでセシリアの動きがわかっていたかの如く、大和は彼女の進行方向に向かってビームライフルを放つ。完全に不意を突かれたセシリアは反応することすら出来ずビームの直撃を受けた。

「い、今のは……」

「あれが私がやつを天才と呼ぶ理由の一つだ」

驚きを隠せない山田に千冬は冷静に言った。

「戦況を一瞬にして把握し、そこから導き出される最適な選択をし相手の動きを二手三手先まで予想し裏を突く動きをする。それがあの神鬼、赤翼の貴公子の強さだ」

ビームライフルを構えながら、大和は引き裂くような笑みを浮かべていた。

「さァて、こっからだぜ? オレのステージはよォ」
 
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