ヘタリア大帝国
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TURN29 開戦前夜その八
むくれている彼女の肩をぽんぽんと叩いてだ。笑ってこう言った。
「きついことはなしだよ」
「わかってるわよ。あたしも処刑とかはしないから」
「だといいよ。とにかくもうすぐだね」
「そう。開戦」
ここでようやくだった。ドロシーが口を開いた。
「我が国は日本帝国との戦いに入るわ」
「主な戦場は太平洋よ」
ハンナは悠然と座りそこから言った。
「妹さんにも頑張ってもらうことになるわ」
「任せてよ。兄貴と一緒に日本を倒してやるさ」
アメリカ妹は右目をウィンクさせてハンナに応えた。
「そして太平洋経済圏だね」
「ええ。ガメリカのものを大規模に売るわ」
これがガメリカの狙いだった。彼等はあくまでビジネスを考えていたのだ。
「けれどその前にね。植民地と中帝国と衝突する日本帝国を何とかしないといけないから」
「戦争をするってことだね」
「そういうことよ。あくまでこれは政治よ」
ハンナは戦争を政治の一手段と割り切っていた。
「プレジデントも軍の増強にサインをしているわ。後は開戦だけよ」
「できるだけ日本とは早いうちに講和したいけれど」
クーは少し弱気な感じで述べた。
「こちらの準備が完全に整ってからハワイからあの国の本土まで攻めるべきね」
「一戦で海軍は叩きのめすわよ」
キャロルは胸を張ってだ。そうすると言い切った。
「連中の海軍はね。それでよね」
「植民地の独立は既成事実にするわ」
またハンナが言った。四姉妹の話し合いはやはり彼女が軸になる。
「エイリスには飲ませるわ」
「だからエイリスには積極的に援助をしない」
ドロシーは淡々として述べた。
「力が残っていれば植民地の奪還に動くし私達の言うことを聞かないから」
「精々ドクツと潰しあってもらうわ」
ハンナも冷淡なまでにクールに言う。
「もうあの国の時代は終わらせるわ」
「というかね。植民地自体がナンセンスよ」
キャロルは植民地自体を否定していた。
「他の国から搾取して成り立つ経済とかね」
「その通りよ。キャロルが正しいわ」
ハンナはキャロルのその言葉をよしとしていた。この辺り彼女もガメリカ人だ。
「オセアニアに東南アジアまではね。太平洋だから」
「あたし達の中に入らないとね」
「フィリピンさんと一緒に私達の仲間になってもらうわ」
ハンナはフィリピンの名前も出した。
「その為にもエイリスには弱まってもらうわ」
「エイリスも災難だね。この戦争でボロボロになるんだね」
とはいってもだ。アメリカ妹の顔は明るく笑っている。
「それでかなり弱くなるね」
「私達の主な目的の一つはそれだから当然よ」
ハンナはここでもクールだった。やはり冷淡なまでに。
「エイリスの植民地を私達の経済圏に組み込むことだから」
「けれど直接戦争はできない」
ドロシーはこの事実を指摘した。
「同盟国だから。一応」
「同盟国っていうならソビエトもだけれどね」
キャロルの顔がここでまた曇る。
「まあ向こうも一時的なものだって割り切ってるけれど」
「私達の最大の敵はソビエト」
またドロシーが言った。
「日本でもエイリスでもない」
「正直カテーリンは何とかならないかしら」
ハンナは顔はそのままだが声を曇らせてきた。
「共有主義になったらガメリカは終わりよ」
「ったく、ロシアの兄妹は前からいけ好かない奴等だったけれどね」
アメリカ妹も自分の席で腕を組んで困った顔を見せる。
「今は余計にね」
「ええ。最早放ってはおけないわ」
ハンナのその青い目が光った。
「日本を尖兵にしてね」
「あの国とは全面戦争しかないから」
四姉妹の中で最も温厚なクーもソビエトに対しては覚悟を決めていた。
「だから」
「日本との戦争の次が本番よ。いいわね」
ハンナは他の姉妹の面々とアメリカ妹にこう告げた。
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