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ヘタリア大帝国

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TURN27 人類統合組織ソビエトその五

「いつも思いますが」
「どうしたのだ、ベラルーシ君」
「はい、本当に二年前と変わりましたねクレムリンも」
「贅沢はあってはならない」
 ゲーペはベラルーシにも教師の様な態度だった。
「決してだ。だからだ」
「それ故にですね」
「貴族的な芸術品や贅沢な装飾は除去した」
 そうしたというのだ。
「そしてそのうえでだ」
「こうしたポスターや標語に代えましたね」
「皆正しくあるべきなのだ」
 さながら学校の様にだというのだ。見れば壁にはいじめ厳禁といったものや皆と友達になろうといった本当に小学校そのものの標語もある。
「誰かが誰かを差別する様な社会は」
「存在してはいけませんね」
「我が国は確かに今エイリスと同盟を結んでいる」
 だが、だというのだ。
「あの忌まわしい植民地主義も貴族達もだ」
「存在してはいけませんね」
「太平洋の資産主義国家達を更正させてからだ」
 ガメリカや中帝国のことであることは言うまでもない。そして日本もその中に入っている。
「エイリスとは全面戦争に入る」
「そして貴族も植民地も」
「全て共有主義の下に更正する」
 ゲーペは眼鏡の奥の鳶色の瞳を輝かせながら言っていく。
「正しい人類の世界の為に」
「カテーリンさんが仰る様に」
「主席はいつも正しいのだ」
 ゲーペはエストニアにも答える。
「何もかもがな」
「うん。そうだよね」
 ロシアが最もだった。共有主義に賛成していた。
 だからこそにこにことしてだ。こう言うのだった。
「じゃあ皆でカテーリンさんのところに行こうね」
「そうしよう。皆でな」
 ゲーペは笑わなかったがそれでもだ。自分の祖国には親しみを見せていた。その親しみの中で彼等をその定期報告会の会場に案内した。そこに来ると壇上、教壇があるそこに一人の少女がいてもう一人が傍に控えている。
 白い雪を思わせるいささか癖があり跳ねた感じの白い髪に青い宝石を思わせる瞳を持っている。まだ幼いが数年後は美貌を誇ることになるだろう、そんな顔を持った少女だ。
 紫の厚い生地の所々に白い毛皮が制服、小学生のそれの上にマントを羽織り首にはリボンがある。黒い蠍の模様が入った裏が紅のマントを羽織っている。人類統合組織ソビエトの主席カテーリンである。
 そのカテーリンの傍らに立つ少女は金髪の波がかった髪をツインテールにしている。その量はかなりのものだ。やはり青い目に白い肌の色を持っている。カテーリンが生真面目な表情なのに対してこちらはあどけないままの顔だ。だがやはり数年後には美貌を誇ることを思わせる顔立ちだ。
 制服はやはり生地が厚く白い毛皮が見えるがこちらはやや淡い赤紫色だ。黒いマントの裏地もその色だ。カテーリンの親友にしてソビエトの首相であるミーシャだ。
 どちらもまだ本当に子供だ。ランドセルを背負う年齢だ。だがこの二人が今ソビエトを指導しているのだ。
 ロシアのところに彼の妹が来てだ。こう言うのだった。
「ようこそ、お兄様」
「カテーリンさんお元気そうだね」
「はい、今朝も朝御飯をたっぷりと召し上がられました」
「ミーシャさんと?」
「ミーシャさんと私とです」
 三人でだ。朝食を採ったというのだ。
「パンとボルシチと少しのお肉を」
「ふうん。いつも通りの朝食だね」
「カテーリンさんは贅沢がお嫌いですので」
 だからだ。粗食だというのだ。
「ですから」
「いいことだよね。一人が贅沢をするとね」
「その分他の人が迷惑しますから」
 だからだというのだ。
「贅沢はよくありません」
「その通りだね」
「共有主義では皆同じものを食べます」
 特に昼はだ。そうしているのだ。
 
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