ヘタリア大帝国
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TURN26 親衛隊その三
「ですから。常に手袋をしていますので」
「そのことは問うなというのだな」
「お言葉ですが。とにかく酷い怪我とのことで」
「わかった。ではそのことはいい」
手袋のことはだ。レーティアもいいとした。
「ではだ」
「はい、それでは」
「すぐにそのヒムラーを呼んでくれ」
「畏まりました」
ロンメルはドクツの敬礼で応えた。そのうえで一旦退室した。
そのロンメルを見送ってからだ。グレシア、今もレーティアの傍らに立っている彼女は少し考える顔になってだ。そのうえでこうレーティアに言ったのだった。
「あの、レーティア」
「どうした?」
「ロンメル元帥はいいけれど」
グレシアも彼には絶対の信頼を置いていた。彼には。
「けれど親衛隊ね」
「何かあるのか?親衛隊に」
「確かにレーティアの強烈なファン達で構成されているわ」
「ならいいだろう。問題はだ」
「戦力になるかどうかっていうのね」
「そうだ。そうなればいいだろう」
「けれど親衛隊は」
どうかとだ。グレシアは彼女の知識から話した。
「今一つ戦闘に向かない面々が多いらしいわ」
「そうなのか?」
「所謂アイドルヲタク達が多いのよ」
「アイドルの追っかけか」
「つまり貴女へのね。そうした意味では忠誠は確かだけれど」
「戦闘自体はか」
「できないわね。それにヒムラーという男」
首を傾げさせながらだ。グレシアはレーティアに話した。
「気になるわ」
「というとどういうことだ?」
「ロンメル元帥の同期らしいけれど」
士官学校の。グレシアもこのことは聞いてわかっている。
「それでもね」
「だから何かあるのか?」
「士官学校を退学した理由も不明みたいね」
「そういえばロンメルは何も言っていないな」
「自分から辞めたらしいけれど」
このことからだ。グレシアは妙なものを感じ取っていたのだ。
「士官学校を辞める人間は少ないのよ」
「入学も楽でないしな」
「給料も衣食住も出るしね」
待遇も保障されているのだ。士官学校はそうした場所だ。
「それに将来の地位も約束されているわ」
「一旦入ればどれだけ厳しい環境でもだな」
「それだけのものがあるし。しかも苦労して入学したからには意地もあるから」
「だからだな」
「辞める人間はとても少ないのよ」
グレシアは言うのだった。このことを。
「ましてや。ヒムラーは中々成績優秀だったらしいわね」
「訓練や学業にもついていっていたのだな」
「それでどうしてかしら」
「何故辞めた、か」
「一身上の都合としか書かれていないけれど」
「そしてだな」
「ええ、士官学校を退学してから今までよ」
その間のこともだ。グレシアは言うのだった。
「何をしていたのかしらね」
「だから辞めたのも親戚の養鶏場を継ぐ為でそれの経営をしていたのだろう?」
「そうだけれどね」
「では一身上の都合ということも説明がつくが」
「そうだといいけれど」
「グレシアはそんなにヒムラーが気になるのか?」
「妙に引っ掛かるのよ」
勘でだ。グレシアはそう思うのだった。
「何かね。怪しいのよ」
「ふむ。ではだ」
「レーティア、よく見てね」
グレシアはレーティアを注意する様に見て言った。
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