八条学園騒動記
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第五百四十六話 〆に入れるものその一
〆に入れるもの
洪童は空になったチゲ鍋の鍋を見つつ春香に言った。
「さて、後はな」
「〆で何を入れるかよね」
「トッポギ入れて喰ってたけれどな」
韓国の餅をだ。
「後は何を入れるか」
「麺でしょ」
春香はすぐに言った。
「ここは」
「やっぱりそれだよな」
洪童は妹のその言葉に頷いた。
「チゲ鍋の〆は」
「それしかないわね」
「ああ、ただな」
「問題はどの麺か」
「インスタント麺か」
洪童はまずこれを挙げた。
「ラーメンか」
「おうどんか」
「おうどんだとな」
それならとだ、洪童はまた言った。
「今冷蔵庫の中にきし麺もあるしな」
「うち麺類よく食べるからね」
「二人共好きだからな」
「今名前が出た麺はね」
それこそというのだ。
「全部あるから」
「何でも食えるんだよな」
「まあ今日食べなかった麺もね」
「すぐに全部食うしな」
後日そうするというのだ。
「だからな」
「どれを食べてもいいわね」
「インスタント麺は日持ちする」
洪童はこのことを指摘した。
「だから今食わなくていい」
「そうよね」
「けれど他の三つは」
ラーメン、うどん、きし麺はというのだ。
「そうもいかないからな」
「ラーメンは十日はもつわよ」
「じゃあ置いておいていいか」
「おうどんは五日後で」
「それできし麺は、か」
「三日後よ」
賞味期限、これはというのだ。
「だからね」
「もう答えは出てるな」
「〆はきし麺ね」
「ああ」
それだというのだ。
「決まりだな」
「そうよね」
「他にはな」
それこそというのだ。
「ないな」
「賞味期限って重要よね」
「ああ、何といってもな」
「それじゃあね」
「賞味期限に従ってな」
そうしてというのだ。
「きし麺にしような」
「それじゃあね」
春香は兄に応えて彼と共に一旦席を立ってそうして冷蔵庫に向かいそのうえで冷蔵庫を開いてきし麺を出してだった。
きし麺の袋を開いて鍋の中に入れた、それで茹でながらまた兄に話した。
「いや、きし麺もね」
「美味いんだよな」
「そうそう、これはこれでね」
「俺きし麺好きだよ」
「私も、ただね」
ここで兄にこうも言った。
「きし麺も日本の食べものよね」
「ああ、名古屋のな」
「今で言う尾張星系よね」
「今でも名物だよ」
尾張星系第一惑星である名古屋のだ。
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