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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百五十四話 歌の後でその二

「嫌になってると思うよ」
「思えば可哀想な人ね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「若くして亡くなってもね」
「実績は残してくれた」
「名曲をね」
 明治以降の日本の音楽、近代の先駆けになった。そう言ってもいい位のとても大きな実績業績と言っていいかも知れないそれを出してくれた。
「そうしてくれたよ」
「それは事実よね」
「うん、けれど肖像画ではね」
「お鼻の穴言われるのね」
「実際のお顔では」
 これではだ。
「そこまで大きかったか」
「わからないのね」
「そこはね、それでこれからは」
 僕はダオさん自身のことも尋ねた。
「どうなのかな」
「後片付けがあるの」
「そっちだね」
「そう、そっちでね」
 歌ったその後はというのだ。
「それが終わったら自由だけれど」
「そっちでだね」
「そう、あと少し忙しいの」
「後片付けもしないとね」
「そこまでして」
 そしてというのだ。
「全部終わりよね」
「日本ではそう言うね、よく」
「そうよね、だからね」
 それでとだ、ダオさんはまた僕に話してくれた。
「まだ少しこっちにいるわ」
「それじゃあこれで」
「暫くお別れね」
「そうなるわね」
「じゃあまたね」
 二人でこう話してだ、そしてだった。
 僕はダオさんと別れた、そうして合唱部から他のところに行こうと思ったけれどまたあれがなかった。けれど。
 合唱部を出て暫く歩いた時にメイド姿のテレサさんにばったりと会って言われた。
「今暇?」
「うん、そうだけれど」
「ならいいわ」
「いいっていうと」
「ちょっと付き合ってくれる?」 
 テレサさんから僕に言ってきた。
「メイド部の方にね」
「ああ、お茶かな」
「そうなの、作り過ぎて」 
 そのお茶をというのだ。
「メイド部でも飲んでるけれど」
「飲みきれないんだね」
「もう私も皆もお腹たぷたぷなのよ」
 紅茶、それを飲み過ぎてというのだ。
「だから義和もたぷたぷになってみる?」
「何か微妙な言い方だね」
 聞いていて実際に思った、そうだと。
「それは」
「そうかしら」
「うん、けれどだね」
「紅茶今は好きなだけ飲めるよ」
「飲み放題なんだ」
「それもただでね」
「ただ程高いっていう言葉はないけれど」
 時にはうまい話には裏があるという言葉もある。
「この場合は」
「気合入れて飲んでもらうから」
「量が沢山あるけれど」
「それこそお風呂に入られる位ね」
「そんなにあるんだ」
「ミルクティーがね」
「一体どれだけ作ったのかな」
 そのことがわからなくなった、それこそだ。 
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