| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百十八話 二帝の別の顔その十一

「木々に干し肉をよおさん吊るしてな」
「肉の林ですね」
「そうしたんやで」
「文字通りなのです」
「もっともそこで乱痴気騒ぎしたけどな」
 これも史記にあることだ。
「ほんまの意味はな」
「贅沢なのです」
「そやで」
 そうした意味の言葉だったというのだ。
「当時はそれが凄い贅沢やったからな」
「そうなのです」
「そやからな」
「いやらしい意味ではないのです」
「そや、それを言えばな」
「今のうち等やね」
 綾乃は今も飲みつつ笑顔で言ってきた。
「お酒をこうして飲んで」
「肉もせいらい食ってな」
「文字通り酒池肉林やね」
「そや、今はほんまにな」
「こっちの世界でもやね」
「まあ日本やとな」
「酒池肉林はちょっとお金出したら」
 それでというのだ。
「味わえるもんや
「ほんまそれ位やね」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「今はまあ太平洋とか欧州とかやとな」
「普通やね」
「そうなったわ」
「まあ中南米でもね、ベネズエラは違っても」
 それでもと言ったのはアレンカールだった。
「大抵の国が豊かになってきて」
「酒池肉林はやな」
「皆時々でも味わえるものになったわね」
「そやな、北朝鮮は置いておいて」
 この国では一人だけが酒池肉林を何時でも楽しめる、尚こうした国を支持どころか崇拝している人間がいることも事実だ。
「起きた世界でもそうなってるし」
「こっちの世界でもやね」
「僕等が治めるとこはな」
「皆そうなる様にな」
「しような」
 こう二人で話した、そしてだった。
 ここでまただ、タゴールは言った。
「それはどの国もですね」
「そやね」
「悪政を働こうと思えば」
「出来るけどね」
「我々はどうもそうした発想はなく」
「普通に皆善政敷いてるな」
「そうですね」
「そら宮殿とか酒池肉林とか何でもない世界やしな」
 羅が言ってきた。
「この世界は」
「文明のレベルでな」
 芥川が羅の言葉に応えた。
「もうでかい宮殿建てるのもな」
「文字通りの酒池肉林もな」
「何でもない世界やしな」
「普通に満足してるわ」
 この世界での生活にとだ、羅は美味いマトンの肉を食べつつ言った。牛肉とはまた違った美味さがそこにはある。
「そやったらな」
「別にな、私利私欲の悪政とかな」
 トウェインも話した。
「何でするねん」
「既に満ち足りているとやな」
「蓄財に走るとかもな」
「ないな」
「というか銭儲けするなら」
 それはとだ、トウェインは芥川にさらに話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧