英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第145話
~第六星層・オベロン社秘密工場~
「やっ!」
「…………」
戦闘開始時ナタリアが先制攻撃に放った矢を少年は剣を振るって矢を振るい落とし
「瞬迅爪!!」
「それ――――――クレセントエッジ!!」
「朧!!」
「!?」
ナタリアの攻撃によって注意が逸れている隙にエステルとユウナは正面から、ヨシュア背後からの同時攻撃で少年にダメージを与えた。
「――――――」
するとその時少女は回復晶術――――――ヒールを発動させて少年の傷を回復し
「…………!」
「あうっ!?」
「いたっ!?」
「っ!?」
傷が回復した少年は大地に衝撃を与え、数多の岩片を吹き飛ばす奥義――――――岩斬滅砕陣で反撃した。
「フム………やはり少女の姿をしたグリモアの方は術師のようですから、最優先に潰すべきですね――――――終わりの安らぎを与えよ、フレイムバースト!!」
一方少女が術師であることを悟ったジェイドは少女に小規模な爆発を起こす譜術を放って少女にダメージを与え
「ったく、偽物とわかっているとはいえ、リアラに攻撃したなんてカイルにだけは知られたくないぜ――――――空破特攻弾!!」
「フン、例え偽物であろうとカイルならば攻撃を躊躇っただろうな――――――臥竜閃!そこか!!」
ジェイドの譜術が命中するとロニが全身を回転させて突撃するクラフトで少女を攻撃し、リオンは追撃をする為に空中へと飛び上がって真空波を放って少女にダメージを与えた。
「消え得ぬ炎を宿せ――――――ブレイズエミッター!!」
「獅子戦吼!!」
そこにナタリアの譜術による攻撃力の強化を付与されたバダックが少年に獅子の闘気を叩き込んで怯ませ
「ドライブ開始――――――ダークマター!!」
「おぉぉぉぉぉ…………っ!!」
オーブメントを駆動させていたユウナが重力で範囲内の敵達を一か所に固めて動きを封じ込める攻撃アーツで少年と少女に攻撃すると共に一か所に固めると、ヨシュアがクラフト――――――魔眼で二人の動きを完全に封じ込めた。
「翔舞煌爆破!!」
「砕けろ!地龍吼破!!」
「月閃光!まだだっ!粉塵裂破衝!!」
「双打鐘!ふっ、はっ!!戦吼爆ッ破!!」
ユウナとヨシュアによって一か所にまとめられて動きが封じ込められている二人にエステルとバダックが範囲攻撃でダメージを与えた後リオンは少年に満月のような軌道を描いて斬り返す剣技から後土煙を巻き起こし、双剣によって火花を起こして爆発させる奥義へと連携させ、ロニは斧槍と裏拳、回し蹴りの連携技から気合の塊を叩きつける奥義へと連携させて少女にそれぞれダメージを与えた。
「砕けましてよ――――――ストローククエイカー!!」
「業火よ、焔の檻にて焼き尽くせ――――――イグニートプリズン!!」
更にナタリアがジャンプして矢を地に放って発生させる衝撃波で追撃し、仲間達が攻撃している間に長めの詠唱時間を必要とする上級譜術を発動させたジェイドが敵達の足元から複数の炎の柱を吹き上げさせる譜術を二人に叩き込んだ。怒涛の攻撃に普通は戦闘不能か瀕死にまで追い込まれたと二人であったが――――――
「「――――――!!」」
二人はそれぞれ全身から凄まじい闘気や霊力を放ち始めた。
「あれは…………」
「まさか…………”オーバーリミッツ”ですの!?」
二人の状態を見て状況を察したジェイドは真剣な表情を浮かべ、ナタリアは驚きの声を上げ
「おいおいおい…………!幾ら偽物とはいえ、技や昌術だけでなく、”スピリッツブラスター”まで真似できるのかよ!?」
「チッ、全員今はあの光が収まるまで防御や回避に徹しろ!”スピリッツブラスター状態”になった今のあの二人には攻撃はほとんど通じん!」
二人の状態がどういう状態からを一番よく理解していたロニは表情を引き攣らせ、リオンは舌打ちをした後仲間達に警告した。
「…………!」
「きゃっ!?」
「っ!?」
すると少年は爆炎を巻き起こす剣技――――――爆炎剣から連続して踏み込み斬りを繰り出し疾風弾で追撃する奥義――――――牙連蒼破刃へと連携させてエステルとヨシュアにダメージを与え
「――――――」
「いたっ!?」
「ぐっ!?」
「やべっ!?」
「フッ!」
少女は無詠唱で高熱を凝縮させ、炸裂させる晶術――――――フォトンブレイズでユウナとバダックにダメージを与え、二人と違って”フォトンブレイズ”がどういう風に発動するかを知っていたロニとリオンは術が発動する瞬間咄嗟に回避した。
「…………」
「!」
「…………」
「来るか…………!」
そこに少年がリオンに襲い掛かり、襲い掛かってくる少年に気づいたリオンが身構えると少年は空中から剣を叩き下ろす剣技――――――空翔斬から対空攻撃から連続で斬りと突きを繰り出して、最後に切り上げる奥義――――――屠龍連撃破へと連携し、少年の連携を双剣で防ぎ続けていたリオンは次の少年の行動を理解していた為少年の一挙一動に集中した。
「…………!」
「遅い!」
そして少年は再び連続攻撃を繰り出した後空高く跳躍し、リオン目掛けて剣を振り下ろしたが、リオンはその間に後ろに大きく跳躍して地面に剣を叩きつけて広範囲にエネルギーを発生させた少年の秘奥義(Sクラフト)――――――蒼龍滅牙斬を回避した。
「…………!」
「チィ…………ッ!」
「”フィアフルストーム”って事は次に来るのは…………!」
少年のSクラフトが終わると少女が発動した晶術――――――フィアフルストームによる強烈な竜巻が発生し、それを仲間達と共に受けてしまったリオンは舌打ちをし、ロニが表情を引き攣らせると突如背に翼を生やした子供のような存在が現れると、子供のような存在は真空の渦でエステル達を攻撃した後全員一気に打ち上げて大ダメージを与えた!
「あうっ!?ごめん、みんな…………」
「くっ!?こんなところで…………」
「いやぁっ!?そ、そんなぁ…………」
少女が放った疾風の皇子を具現させ、風の刃で敵を切り裂く具現結晶(Sクラフト)――――――シルフィスティアのダメージに耐え切れなかったエステル、ヨシュア、ユウナは戦闘不能になって地面に膝をつき
「ぐ…………っ!さすがに今のは効いたな…………!オーブメント駆動――――――ティアラル!!」
エステル達と違ってダメージに耐えきったバダックは治癒アーツを発動させて自身の傷を回復し
「く…………っ!一体今のは何だったのですの…………!?優しき癒しの風よ――――――ヒールウィンド!!」
「先程現れた人らしき姿をした凄まじい音素の塊を考えると、恐らく異世界の音素の集合体を召喚し、その召喚した集合体に敵を攻撃させるような大技だったのでしょうね。ですがその代償として先程の”オーバリミッツ”のような状態は消えたようですね――――――スプラッシュ!!」
バダック同様ダメージに耐えきったナタリアは範囲治癒術を発動して自身とジェイドの傷を回復し、ナタリアの疑問に答えたジェイドは少年と少女が全身から放っていた凄まじい闘気や霊力が消えている事に気づくと反撃を開始し、ジェイドが発動した上空から襲い掛かる水流の譜術を受けた二人は怯んだ。
「いてて…………やっぱり”シルフィスティア”かよ…………回復だぁっ!――――――ヒール!!」
「”リザレクション”で戦況を覆される前に一気に決めるぞ…………!――――――ヒール!!」
少女が放った大技の正体を知っていたロニとリオンはそれぞれ自身に治癒の晶術を放って自分達のダメージを回復させた。
「出でよ、敵を蹴散らす激しき水塊――――セイントバブル!!今です、ナタリア、ラルゴ!雷の音素を宿した技を!」
「わかっていますわ!聖なる雷よ、ヴォルテックライン!!」
「雷光よ貫け、紫光雷牙閃!!」
「「!!??」」
更に水属性の上位譜術を少年と少女に命中させたジェイドの呼びかけに答えたナタリアは雷を宿した矢を、バダックは鎌を振るって雷光を放ち、矢は少女に、雷光は少年に命中すると予め水属性の譜術を受けた事で全身が濡れていた二人は雷の宿った攻撃を受けた事で感電した為、怯んでしまった。
「僕を本気にさせた事――――――後悔するがいい!!」
「一気に決めるぜぇっ!!」
そしてリオンとロニは少年と少女のようにそれぞれ全身から凄まじい闘気を放ち始めるとリオンは少年に、ロニは少女に襲い掛かった!
「爪竜連牙斬!崩龍斬光剣!見切れるか! 喰らえ! 翔破裂光閃!!」
「爆灰鐘!かち割ったぁ!あの世逝きだ!神空割砕人!!続けて喰らえ! 震天、裂空、斬光、旋風、滅砕、神罰、割殺撃――――――ッ!!」
リオンは舞を舞うかのように次々と剣撃を繰り出す剣技、常人の目には見切れぬ瞬間移動を伴った斬撃奥義へと連携した後無数の斬撃を繰り出す連撃奥義へと連携し、ロニは斧槍を振り下ろして地面を砕いて大地を踏み鳴らす技から敵を空高く打ち上げ、空中で追撃して叩き下ろす奥義へと連携させた後、雷を呼び寄せる一撃、烈風を纏った一撃、閃光を放つ一撃、大地を唸らす一撃、そして止めに闘気の大爆発を起こす強烈な一撃を叩き込んで、それぞれ敵に大ダメージを与えた!
「「――――――!!??」」
二人の怒涛の攻撃によってダメージが限界に来た少年と少女はそれぞれ”グリモア”の姿に戻り
「終わりだっ!」
「こいつで止めだっ!」
”グリモア”の姿に戻った敵達にリオンとロニがそれぞれ止めを刺した!
「つ、強かった~…………!」
「フウ………ユウナまでやられちゃうなんて、正直想定外の強さだったわね…………」
「それだけ相手が強かった証拠だね…………リオンさん、ロニさん、先程の二人とも顔見知りのようでしたが、もしかして先程の二人がリオンさんとロニさんの?」
リオンとロニが敵に止めを刺した事による戦闘の終了を確認したエステルは安堵の溜息を吐き、ユウナは疲れた表情で呟き、静かな表情で答えたヨシュアはリオンとロニに視線を向け
「ああ…………二人とも、俺達の仲間だよ。」
「…………先程の”グリモア”共で確信した。――――――やはり、”終点”はスタン達に化けた4体の”グリモア”が相手だろうな。」
(坊ちゃん…………)
ヨシュアの疑問にロニが疲れた表情で答えると、静かな表情で推測を口にしたリオンをシャルティエは心配そうな表情で見つめ
「スタンさん達…………それも”4体”って事は…………おいおいおい…………!まさかとは思うが…………!?」
リオンの推測を聞いて終点に待ち受けている敵が誰なのかを予想できてしまったロニが表情を青褪めさせると”グリモア”達が消えた場所に二つの封印石が現れた。
「やはり”封印石”も現れましたか。」
「ええ、そしてあの”封印石”の中身は間違いなく先程の二人でしょうね。」
「――――――!どうやらロニの時のように、この場所の封印石は”第三星層”の時のように終点以外はその場で解放されるようだな。」
現れた封印石を見たナタリアとジェイドは静かな表情で答え、光を放ち始めた封印石を見たバダックが真剣な表情で答えると封印石から先程エステル達が戦った金髪の少年と茶髪の少女が現れた!
「むにゃむにゃ……リアラ……」
「すーすー……カイル……」
現れた二人はそれぞれ眠った状態で互いの名前を呼び、その様子を見ていたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「えっと…………もしかしなくても、あの二人がさっきのロニさんやリオンの話にあった人達?」
「ああ…………俺達が巻き込まれた時は野宿をしていて、今夜は俺が見張りの番だったんだよ…………」
「夢の中でもお互いが登場するとは、どうやら僕の予想以上に”バカップルっぷり”が酷くなっていたようだな。」
「フフ、微笑ましくて素敵なカップルではありませんか。既に結婚している私ですらも羨ましいですわ。」
「まあ、ナタリアの夫は”アレ”ですものねぇ。」
「……………………」
我に返って苦笑しながら問いかけたエステルの確認にロニは疲れた表情で答え、リオンは呆れた表情で眠っている二人を見つめ、微笑ましそうに二人を見つめて呟いたナタリアの言葉を聞いたジェイドはやれやれと言った様子である人物を思い浮かべ、バダックはジェイドが思い浮かべている人物と同じ人物を思い浮かべて顔に青筋を立てて黙り込んでいた。
「フウ………ヨシュアもそうだけど、レーヴェも将来あの二人みたいになる可能性がある事を考えると色々と残念ねぇ。」
「ちょっと!それって、どういう意味よ!?」
「ハハ…………」
呆れた表情で溜息を吐いたユウナの言葉を聞いたエステルがユウナを睨んで反論している中ヨシュアは苦笑していた。
「う…………ん…………?え――――――」
するとその時エステル達の会話による騒々しさで目覚めた少女はエステル達に気づくと呆けた声を出し
「ここは…………それに貴方達は一体…………えっ!?まさか貴方…………ジュ、ジューダス!?私、もしかして夢でも見ているの…………?」
「ハハ、そう思うのも無理はないが、ここは”現実”だぜ、リアラ。」
「フン、まさかその”夢を見させる側”であったお前にそんなことを言われるとはな。――――――取り敢えず状況を説明してやるから、まずはそこのバカを起こしてやれ。」
エステル達の中にいるリオンを見つけた少女が困惑した様子でリオンを見つめている中ロニは苦笑しながら答え、リオンは鼻を鳴らして苦笑した後少女に指示をし
「……………どうやら、私達が眠っている間に尋常じゃない出来事が起こったようね。――――――わかったわ。」
ロニとリオンに話しかけられた事で完全に目を覚ました少女は立ち上がり、自身の荷物の中からフライパンとお玉を取り出した。
「へ?フライパンとお玉?」
「何故人を起こす為にそのような物を取り出す必要がありますの?」
「フム…………事情を知っていそうな二人の様子を見ると何やら嫌な予感しかしませんねぇ。」
少女の行動にエステルとナタリアが困惑している中ジェイドは既に自分達の両手で自分達の両耳を塞いでいる様子のロニとリオンを見て呆れた表情で溜息を吐いた後二人のように両手で自分の両耳を塞いだ。
「右手にお玉を、左手にフライパンを!横たわりし者に正義の鉄槌を!うなれ、エルロン家秘技!死者の目覚め~~~!!」
すると少女はフライパンに何度もお玉を叩きつけてその場に強烈な大音響を巻き起こし始めた!
「キャアァァァッ!?何なのよ、もう~~~っ!」
「どうやらリオンさん達にとって彼の起こし方はアレが日常茶飯事だったみたいだね…………」
突然起こった強烈な大音響に思わず悲鳴を上げたユウナは慌てて自分の両手で両耳を塞いでその場で蹲り、ユウナ同様予め備えていたロニとリオン、ジェイド以外の者達も全員その場で蹲って自分達の両耳を両手で塞いでいる中ヨシュアは苦笑しながら状況を見守り
「く~~っ!わかってはいた事だが、代を重ねても死者の目覚め(アレ)の強烈さは相変わらずだぜ…………ッ!」
「全く…………再会して早々死者の目覚め(アレ)を聞かされる羽目になるとはな。ある意味カイル(あのバカ)らしい再会の仕方だな。」
(アハハ、この調子だとスタンの時も同じ事になりそうですよねぇ。)
一方予め備えていたロニも耳を塞いでもなお聞こえてくる大音響を様々な思いを抱え、リオンは呆れた表情で溜息を吐きながらも懐かしさを感じたのか口元に僅かな笑みを浮かべ、シャルティエは苦笑しながら状況を見守っていた。
「むにゃむにゃ……ふあ…………っ!?」
そして少女が巻き起こす大音響によって少年がようやく目覚めると少女はフライパンにお玉を叩きつける事を止めた。
「おはよう、カイル♪」
「ふあ~あ…………おはよう、リアラ。…………え~っと…………あれ?俺達って、野宿していたんじゃ…………へ。」
少女に話しかけられた少年はあくびをした後周囲を見回して自分が屋内にいる事に気づくと不思議そうな表情を首を傾げたがリオンに気づくと呆けた声を出し
「もしかしてジューダス…………?あれ…………?でも、ジューダスがいつものアレを被っていないのはおかしいよな…………?という事はこれって夢って事になるから、まだ寝ていていいんだよな…………?」
「って、夢じゃねえから二度寝するんじゃねえ、カイル!」
「寝ぼけるのもいい加減にしろ、カイル!」
リオンを見て二度寝し始めようとした少年の行動にエステル達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ロニは慌てた様子で、リオンは顔に青筋を立ててそれぞれ声を上げた、
その後完全に目覚めた少年と少女にエステル達は自己紹介と事情を説明した。
「人の”想念”が影響する世界――――――”影の国”…………その”影の王”という人はエルレインではないにせよ、私達も含めて複数の異世界を巻き込むなんて相当厄介な相手ね…………」
「うーん…………まだよくわかんないけど、取り敢えずジューダスと再会できたんだから、まずはそっちを喜ぼうぜ!」
少女――――――リアラは事情を聞き終えると真剣な表情で考え込み、少年――――――カイル・デュナミスは考え込むことを止めてリオンに視線を向けて口元にえみを浮かべて答え、カイルの発言にその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。
「ハッハッハッ、この状況でも全く動じないとは、ある意味大物ですねぇ。」
「まさかエステル以上の能天気な人がいるとは思わなかったわ。さすがは異世界ねぇ。」
「誰が能天気娘よ!?」
「まぁまぁ…………」
我に返ったジェイドは暢気に笑い、呆れた表情で答えたユウナを睨むエステルをヨシュアは苦笑しながら宥め
「全く…………貴様というヤツは。今までの旅や戦いでの経験の記憶も蘇っているのだから少しはその能天気さもマシにはなったと思ったが、どうやらその点に関しては僕の思い違いだったようだな。」
「えへへ…………でも、これであの時の俺が言った事が現実になったぜ!」
「?あの時って何の時の事かしら?」
リオンは呆れた表情で溜息を吐いて一瞬だけ口元に笑みを浮かべた後すぐに呆れた表情でカイルに指摘し、嬉しそうに笑いながら答えたカイルの言葉が気になったリアラは不思議そうな表情で訊ねた。
「リアラが消えて歴史が修正されようとしていた時に、俺達も”歴史の修正”で今までの旅の記憶やお互いの事も忘れるってハロルドは言っていたけど…………俺はそれでも、みんなと一緒に旅して結ばれたこの絆が消えるなんて事、絶対にないって信じてたんだ…………!」
「あー、そういやあの時そんな事も言っていたな…………」
「フフッ、カイルらしいわね。」
「フン、ただ能天気なだけだろうが。」
(坊ちゃん…………)
カイルの説明を聞いてかつての出来事を思い出したロニは苦笑し、リアラは微笑み、リオンはカイルに対して皮肉な言葉を口にしながらも口元に笑みを浮かべ、リオンの様子をシャルティエは微笑ましそうに見守っていた。
「それにしても仮面を被っていないジューダスって俺達にとっては何か違和感を感じるよな~?」
「フフ、言われてみればそうよね。正体が判明してからも、フォルトゥナとの決戦を除けばジューダスが自分から仮面を外す時なんて滅多になかったものね。」
「こんな事なら、ジューダスと再会した時用に元の世界でリアラと再会する前に偶然行商人が売っているのを見つけたジューダスが被っていたあの仮面を買っておけばよかったよな~。」
「貴様ら…………!貴様らの僕に対する印象は仮面しかないのか…………!?」
(アハハ、まあそう言われてもおかしくないくらいカイル達と共にいた坊ちゃんは頑なに仮面を外さなかったのですから、仕方ないかもしれませんよ。)
不思議そうな表情でリオンを見つめて呟いたカイルの疑問を聞いたリアラは微笑みながら、ロニはからかいの表情でそれぞれ答え、カイル達の話を聞いて顔に青筋を立ててカイル達を睨むリオンにシャルティエは苦笑しながら指摘した。
「アハハ、何はともあれ昔の仲間と再会できてよかったわね、リオン。」
「フン…………――――――カイル。先程も説明したようにスタン達も今回の件に巻き込まれている可能性は高い――――――いや、先程戦ったお前達の姿をした”グリモア”共を考えると確実だろう。そしてその為には偽物とはいえ、スタン達の姿に化けた魔物達ともやり合う事になる事が考えられる。…………予め偽物だとわかっているとはいえ、お前にスタンやルーティの姿をしたグリモア共を”斬る”事ができるか?」
エステルに声をかけられたリオンは鼻を鳴らした後表情を引き締めてカイルに問いかけ
「――――――できる!本物の父さんと母さんを助ける為にも…………俺達が元の世界に帰るためにも…………そして何よりも父さんと母さんの偽物なんて許せない!」
「カイル…………」
「ったく…………そんじゃ、腹を括って先に進むとしますか。」
決意の表情で答えたカイルをリアラが微笑みながら見守っている中ロニは苦笑した後先に進むように促し
「ああ!――――――そういう訳で俺達も協力するから、これからしばらくの間よろしく!」
「うん!二人ともよろしくね!」
カイルはロニの言葉に頷いた後エステル達を見回して声をかけ、カイルの言葉にエステルがその場にいる全員を代表して笑顔で頷いた。
その後エステル達が時折現れる魔物達を撃破しながら先へと進み続けると景色は工場から洞窟の中らしき景色へと変わり、行き止まりの広い場所に出た。
~海底洞窟~
「行き止まりって事は…………」
「どうやらここが終点のようだね。」
「うふふ、そしてそろそろリオンが予想していた”因縁の再戦”が始まるのでしょうね。」
「フン、多少の違いはあれど、アレに関しては同じか。」
(坊ちゃん…………)
先に進む道がない事を確認したエステルとヨシュアは次に何が起こるかを察していた為表情を引き締め、意味ありげな笑みを浮かべるユウナに視線を向けられたリオンは周囲を見回してレバーとエレベーターを見つけると鼻を鳴らして不愉快そうな表情をし、シャルティエがリオンを心配そうな表情で見守っているとエステル達の目の前に魔法陣が4つ現れた!
「魔法陣…………!」
「それも4つという事は、どうやらリオンの予想が完全に当たったようだな…………!」
「――――――来ます!」
魔法陣を見てそれぞれ武装を構えて警戒している中ナタリアは声を上げ、バダックは真剣な表情を浮かべて呟き、ジェイドが声を上げると魔法陣からはカイルによく似た全身に白を基調としたプレートアーマーを身に纏った金髪の青年、お腹を始めとした肌をさらす大胆な衣装を身に纏った黒髪の女性、神官服を身に纏った緑髪の眼鏡をかけた女性、そして青を基調としたプレートアーマーを身に纏った銀髪の青年が現れた!
「「「「……………………」」」」
「父さん!母さん!フィリアさんにウッドロウさんも!」
「わかっていたとはいえラストはやっぱり、そのメンツかよ…………ッ!」
「偽物とはいえ、”四英雄”全員が相手だなんて…………!」
「フン、しかもご丁寧に年を取った今の姿ではなく、当時の若い姿に化けさせるとはとことん僕を怒らせたいようだな、”影の王”は…………!」
(今の坊ちゃんはあの時の坊ちゃんと違い、一人ではない事を思い知らせてやりましょう…………!)
虚ろな目をした自身にとって親しい人物達の姿をした”グリモア”達を見たカイルは思わず声を上げ、ロニとリアラは真剣な表情で声を上げ、リオンとシャルティエは怒りの表情で自分達にとって因縁のある姿に化けた”グリモア”達を睨んだ。
「――――――例え偽物とはいえ、スタン達に化けた上この場所で僕達と相対した事…………絶対に許さん!この僕の怒りに触れた罪…………その身を持って償うがいい!」
「父さん達は絶対に返してもらう…………!――――――行くぞ、みんなっ!!」
「おおっ!!」
そしてリオンと共に肩を並べて”グリモア”達に剣の切っ先を向けたカイルは号令をかけて仲間達と共に自分達の世界で”四英雄”と謳われている英雄達の姿に変身した”グリモア”達との戦闘を開始した――――――!
後書き
という訳で皆さんの予想通りと思いますが、デスティニーシリーズからの参戦キャラはロニ・デュナミスに続いてデスティニー2の主人公とヒロインことカイル・デュナミス、リアラが参戦です!そしてこれも予想通りと思いますが、リオンチームのラストで戦うグリモア達はデスティニーのメインメンバーにして”四英雄”ことスタン・エルロン、ルーティ・カトレット、フィリア・フィリス、ウッドロウ・ケルヴィンにそれぞれ変身しています!次回の戦闘BGMは当然原作デスティニーorリメイクのリオン戦のBGMである”Lion-Lrony Of Fate”だと思ってください♪
ページ上へ戻る