夢幻水滸伝
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第百十六話 荒ぶる善その十五
「この世に生まれたことを後悔させたる」
「そこまでの報いを与えるか」
「そや、エロ漫画に出て来る様なチンピラもな」
「そうした種類も外道もいるだろうな」
「世の中にはな、ダルマにする位はな」
ここでだ、マリーナはこうした物騒なことも言った。
「したる」
「残虐だな、お前の悪いところだ」
「イワン雷帝さんもっとやってたわ」
「あのツァーリか」
「そや、無茶苦茶殺しまくってたわ」
「あの人は罪のない人までそうしていたな」
「その時の機嫌次第でな」
街を攻めて関係のない市民まで拷問して嬲り殺す様なこともしていた、ロシアの発展に大いに貢献した人物だが残虐でもあったのだ。
「そうもしてたわ」
「日本にはいないタイプの人物だ」
「信長さんとかはちゃうな」
「織田信長は実は律儀で最低限しかだ」
「人は殺してへんか」
「実はな。毛利元就の方が酷かった」
騙し討ち、裏切りは常だった。城の主も兵達も命は助けると言って降らせてから皆殺しという様な所業も何度も行っている。織田信長はそうしたことはほぼしていない。武田信玄も上杉謙信も流血は出来るだけ最低限に収めている。
「だがそれでもだ」
「毛利さんでもか」
「イワン雷帝の様なことはな」
「せんかったかな」
「そうだったからな」
「イワン雷帝は日本にはいないな」
「他に国にも滅多におらんかろな」
イワン雷帝の様な人物はとだ、マリーナも半ば認めた。
「ああした人は」
「そやな、しかしな」
「しかし?」
「悪党はほんまにな」
「お前の感覚ではか」
「ダルマにしてな」
つまり両手両足を切断してというのだ。
「放り捨ててもええやろ」
「そのまま餓死しろというのやな」
「そや、自分が言うた暴力教師みたいな奴とかな」
「成人漫画の悪役の様な輩はか」
「麻酔なしで両手両足ぶった切ってな」
「後は放置か」
「そうしたったらええわ」
こう言うのだった。
「それか串刺しや、あれは何日も苦しんで死ぬさかいええやろ」
「ルーマニアかと言いたいが」
日毬は豆腐を食べつつ言った、この国の英雄であるヴラド四世が罪人や敵の捕虜を好んで殺したからである。尚この人物がドラキュラ伯爵のモデルであるのはあまりにも有名な話である。
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