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戦国異伝供書

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第六十七話 元康初陣その十二

「まだ若いし才覚もある」
「だからですか」
「うむ、当家がどうなってもな」
「生きられますか」
「左様じゃ、お主は今川家に忠義を尽くしておるが」
 それでもというのだ。
「どうにもなるであろう」
「それがしはやはり」
「今川家には」
「そう考えております」
「ではな、これからも頼むぞ」
「さすれば」
 元康はこの後は雪斎とは政の話をした、三河の田畑を整える話で雪斎は元康の故郷でもあるこの国のことはこう言った。
「まだ拓けておらぬが」
「それでもですな」
「よい川と平地が多く治めやすい」
 そうした国だというのだ。
「だからよい田も畑も多くもうけられ」
「米が多く採れる様になりますか」
「そして今は豆を作らせておるが」
「その豆もですな」
「より多く作っていこうぞ」
「豆から味噌や醤油を造り」
「そして売る、後は納豆もな」
 この食べものもというのだ。
「作っていくぞ、そして街もな」
「はい、三河は何分平地が多いので」 
 それでとだ、元康はさらに話した。
「街もです」
「よい城下町を多くもうけられる」
「そちらでも豊かになります」
「東海道沿いによい街を多くもうけていこう」
「その様に」
「ただ。平地が多いからな」
 このことについて雪斎はこうも言った。
「問題もある」
「攻めやすく守りにくい」
「だからじゃ」
 そうした国柄だからだというのだ。
「城は確かなものを築くべきじゃ、先程城は政を行う場所と言ったが」
「やはり戦になれば」
「そこを拠点として戦いな」
「篭もることもありますので」
「確かな城を築いておくことは絶対じゃ」
「そうなりますな」
「だからな」
 三河はというのだ。
「確かな城を築いていくぞ」
「わかり申した」
「無論川の堤や橋も築いてな」
「そちらもですな」
「築いて」
 そしてというのだ。
「よくしていく」
「全てを」
「あの国は治めれば治める程豊かになる」
 そうした国だというのだ。 
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