| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百四十一話 研究室に戻ってその七

「落ち着いて力を出せるのじゃ」
「じゃあ聞くぜ」
 ライゾウは博士を右の前足で指し示しつつ問うた。
「いつも緊張していたらどうなるんだよ」
「疲れるだけじゃ」
「そうなるんだな」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「休む時はな」
「休まないと駄目なんだな」
「そして睡眠は最大最高の休養の一つじゃ」
 そうした面もあるというのだ。
「だから緊張する場面の前はな」
「寝るのも手か」
「だからお主が寝たのはな」
「いいことなんだな」
「頭も身体も休まる」
 寝ると、というのだ。
「そしてその分緊張もしやすい」
「疲れが取れてか」
「そうじゃ、だからな」
「寝る時は寝るべきか」
「寝られたらな」
「そうか、猫はよく寝るけどな」
「だから日本語で『ねこ』なのじゃ」
 博士はその猫であるライゾウに今自分達が暮らしている国の言語からも話した。
「『寝る子』だからじゃ」
「それで『ねこ』かよ」
「他にはあるものと形が似ているからともな」
「言われてるんだな」
「そうじゃ、しかしとにかく猫はな」
「よく寝るんだな」
「そうした生きものじゃ、あと犬もじゃ」
 今度はその犬であるタロを見て話した。
「よく寝る」
「そうだね、確かに」 
 そのタロも否定せずに答えた。
「僕も実際にね」
「よく寝るのう」
「うん、ライゾウと同じ位ね」
「猫も犬もよく寝る、それがじゃ」
「いいんだね」
「そうじゃ、わしもよく寝ておるな」  
 博士は自分のことも話した。
「そうであろう」
「ああ、一日八時間は寝てるよな」
「最低でも五時間かな」
「寝ない日ないよな」
「徹夜はしないね」
「寝るとじゃ」
 それによって、というのだ。
「さっきも言った通りな」
「頭と身体が休まる」
「そうなるんだね」
「だからよいのじゃ」
 こう言うのだった。
「それで毎日寝ておる」
「絶対に徹夜はしない」
「そうしてるんだね」
「徹夜なぞしたら」
 どうなるかも話した。
「ずっと頭も体も使っておるからな」
「疲れるな」
「そうなるね」
「だからか」
「徹夜は駄目なんだね」
「あれはよくない、不死身でもじゃ」
 博士の身体はそうである、人間というかこの世界では神と呼んでいい存在の一人なのでそうした身体なのだ。不老でもある。
「それでもじゃ」
「身体に悪いんだな」
「徹夜は」
「少しでも寝んとな」
 そうしないと、というのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧