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借金大王

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第六章

「それを人に言っても平気な無神経さでな」
「耳かきまで言う器の小ささね」
「他のお世話になった人にも文句ばかりで」
「いる場所の悪口ばかり言って」
「後ろ足で砂かける様な真似ばかりしてただろ」
「亮行大叔父さんにもね」
 俺達のことをいつも面倒を見てくれる親戚の人だ、いい人で特に妹は子供の頃から可愛がってもらっている。
「嫌なこと言われたからって」
「殴ってやろうかだしな」
「大叔父さん脳梗塞で倒れたのに」
「まだ後遺症残っててな」
「身体障害者なのに」
「しかも年長者で自分の叔父さんだぞ」
 その屋から見ればそうなる立場の人にというのだ、俺もこの輪を
「そんなこと言ったしな」
「人の家に上がり込んで平気で人の部屋に入って本漁ったり大飯喰らって」
「あいつはそこまでしないだろ」
「勝手に人の部屋入らないわね」
「暴力的でもないし人の悪口も言わないだろ」
 あいつはそうしたことはしない。
「誰かを殴ってやろうかとかな」
「そうしたことも言わないし」
「実際に殴ることなんてな」
 それこそだ。
「天と地面がひっくり返ってもだろ」
「しないわね」
「殴られる方だよ」 
 あいつの場合はだ。
「チンピラとかの彼女に手を出してな」
「言い寄ってね」
「言い寄っても無理強いはしないしな」
 あいつはそれもない。
「それで人の部屋にも勝手に入らないだろ」
「大飯はあってもね」
「まだあいつはな」
「佳徳叔父さんよりはね」
「比べ様もないだろ」
 それこそだ。
「あの叔父さんみたいになったら終わりだよ」
「人間としてね」
「サラ金にまで金借りたしな」
「働かなかったからね」
「それで夜逃げまでしてな」
「住んでたマンションの後始末も他の人達がしたけれど」
「そのことに感謝もなくてな」
 本当に恩知らずだ、あの人は。
「そこで色々高い本とかいい服とか出て来ただろ」
「働かないのにね」
「自分のことには金使ってたんだよ」
「家にお金入れなかったのに」
 働らかなかったから当然だ。
「奥さんのお金とね」
「サラ金でそうしてな」
「あと色々ずるかったのよね」
「一族の中でいつもおいしいどこ取りでな」
 都合のいい時にだけ出て来てだったみたいだ。
「恥知らずでな」
「お話すればする程どうしようもなかったわね」
「挙句皆から見放されただろ」
「そうね、一族全員から縁を切られて」
 勿論兄弟である俺達の親父からもだ、何でも子供の頃から甘やかされてばかりだった叔父さんと仲が悪かったらしい。
「お世話になっていた人達からもね」
「匙投げられただろ」
「皆からね」
「本当にあの叔父さんよりはな」
「あの人はましね」
「ずっとな、屑の中の屑だけれどな」
 そう言うしかない奴だ、本当に。 
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