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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百四十八話 剣道家その十二

「君にもだ」
「色々教えてくれてるんだね」
「そうだろう、私から見ると破天荒な人だが」
「よく言われるよ」
 友達からもだ、傍目から見ていると面白いけれどあんな生き方はそうそう出来るものじゃないとも言われたことがある。
「そのことは」
「そうだろうな」
「うん、実際もう人生自体が横紙破りで」
「破天荒だな」
「その破天荒さは」
 それこそだ。
「有り得ないからね」
「そうだな」
「けれど」
「そうした人でもか」
「人の道は外してないからね」
 このことは見事なまでに守っている。
「色々問題はあっても大事なものは全部持っているよ」
「そうした人か」
「うん、外道ではね」 
 このことはだ。
「間違ってもないから」
「そして君もだな」
「うん、確かに遊び人だけれど」 
 特にお袋がいなくなってからのことを思い出しながらだ、僕は留美さんに話した。今もいい思い出だ。
「僕の面倒はね」
「見てくれていたか」
「今もお金を送ってくれるし」
 八条荘管理人として給料を貰っていると言ってもだ。
「二人でいる間は料理もね」
「作ってくれたか」
「そうなんだ、掃除とかは僕がしていたけれど」
 親父は如何にもそういうのは駄目そうで僕がしていた。
「あと洗濯ものを干して入れて畳むことも」
「君がしていたか」
「うん、ただ洗濯機の洗剤を入れてボタンを押すことは」
 このことはだ。
「親父がしていたよ」
「そうしたこともか」
「うん、やることはやってくれるから」
「そこはいいことだな」
「幾ら滅茶苦茶でも持っていないといけないことを持っていたら」
 そうした人ならだ。
「いいよね」
「全くだな」
「今僕達が話した屑そのものの連中とはね」
「全く違うな」
「うん、親父は屑じゃないよ」
 このことは誓って言える。
「縁遠い人だよ」
「全くだな」
「その親父の言うことはね」
「間違いはないか」
「どうかという発言も多いけれど」
 このことは事実でもだ。
「それでもね」
「おおむねにおいてだな」
「いいこと言ってると思うよ」
「遊びで学んだことだな」
「そうだな、私は遊びは苦手だが」
「遊びからもね」
「学べることはある」
 考える声での言葉だった。
「そういうことだな」
「そうだね、しかしね」
「しかし、か」
「これは何でもらしいけれど遊びって溺れると」
「それでか」
「危ないらしいから」
「溺れるというと水だな」
 留美さんは溺れるという言葉からすぐにこれを思い出した。
「水泳でもそうだは」
「うん、わかりやすいよね」
「ああいう風になるか」
「親父は溺れていないんだよね」
 遊び、お酒にも女の人にもだ。 
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