夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百十二話 海から運びその十三
「そうした赤裸々発言は」
「止めた方がいいんじゃな」
「何かそこまで赤裸々ですと」
どうかとだ、マリーメイアはさらに話した。
「広島なので」
「あれじゃな」
「はい、あの映画を観たせいか」
マリーメイアは先日観た全五作品からなる昭和の有名なヤクザ映画のシリーズを思い出した。広島を舞台としたヤクザ同士の殺し合いを描いた映画だ。
「広島といいますと」
「ヤクザ屋さんじゃな」
「そのイメージがあり」
「あの映画は実際にあからさまに言うからのう」
「はい、ですから」
「ヤクザ屋さんみたいじゃな」
「そう連想しました」
こう碧に言うのだった。
「どうも」
「ははは、まあそっちの世界とは付き合いがないけえ」
碧はマリーメイアに雑炊を食べつつ応えた。
「安心するけえ」
「そうですか」
「もう広島でも減ってるけえ」
ヤクザ者はというのだ。
「安心するけえ」
「そうですか」
「そうじゃけえ、ただとにかくじゃな」
「そうしたあからさまなお話は」
「止めるべきじゃな」
「それがいいです」
是非にという言葉だった。
「真に」
「ううむ、ではこの癖はのう」
「慎んで」
「そうすればええんじゃな」
「さもないとお婿さんも来ませんよ」
「これから気をつけるけえ、ほな最後は」
その後のことも話すのだった。
「柿を食べるけえ」
「そうしてですね」
「寝るけえ」
こう言ってだった、碧は雑炊の最後の一口を食べた。そのすぐ後に他の面々も食べ終わっていてだった。
デザートの柿も全員で食べた、一同は最後の最後まで酒も馳走も楽しみ満足して床に入ることが出来た。
第百十二話 完
2019・5・1
ページ上へ戻る