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緋弾のアリア 〜Side Shuya〜

作者:希望光
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第1章(原作1巻) 緋色の改革者(リフォーマー・スカーレット)
  第06弾 非日常という名の日常

 
前書き
第6話です 

 
 俺とキンジが出会ったのは、4〜5歳ぐらいの時だった。
 その時の俺は生まれ故郷の青森に住んでいた。
 俺が住んでいたのは街中でも山奥でもないちょうどその間のような場所。周りに俺と年の近い人間はいないに等しかった。

 そこに引っ越して来たのがキンジだった。
 キンジとは年が同じだったということから仲良くしていた。
 けれど、キンジが引っ越して来てからしばらくして俺は、埼玉に引っ越して行った。

 そして、俺は埼玉の小学校に通った後神奈川武偵高付属中学に進学した。そこでキンジに再開した。そこであいつは一つのトラウマを作ってしまった。
 俺はあいつを助けられなかった。そのことは未だに後悔していることである。
 あいつは、女子に体質を知られ独善的な正義の味方(・・・・・)にされていた。そのことを未だに引きずっている。だから俺は誓った。困っている人を助けられる武偵になろうと。というわけで、今東京武偵高校(ここ)にいる。





 もともと、家と遠山家は協力関係にあったとか何とか。ご先祖様が遠山家に使えていたとか言ってたはず。
 だから、遠山家の人間も家の家系に伝わる体質を知っている。
 そういうようなことは青森にいた頃に教えてもらったが故にあまり良く覚えてはいない。
 唯一しっかりと覚えていることは、キンジのお兄さん———金一さんに教えてもらった遠山家に代々伝わる体質H(ヒステリア)S(サヴァン)S(シンドローム)についてのことぐらいである。

 でも、その金一さんももういない……。
 去年のクリスマスイブに起こった、豪華客船の沈没事故で乗客全員を助け、東京湾に散って行った……。
 何故、あの人が……金一さんが……武偵として目標だったと言っても良いぐらい凄い人が何故……。

 しかも、乗客からの訴訟を恐れたクルージング・イベント会社、そして焚きつけられた一部の乗客たちは、事故の後、金一さんを激しく非難した。
 その際、遺族のキンジにもマスコミや被害者達の矛先が向けられた。
 そんなキンジは、金一さんが亡くなったことをヒステリアモードのせいだと思ってる。

 そして、死んでもなお、石を投げつけられる武偵というものに失望した。
 だから、あいつは武偵になることをやめていた。
 その為に、来年一般の高校に転校すると言っていた。

 同時に強襲科(アサルト)から探偵科(インケスタ)に転科していった。
 俺はまたあいつに何もしてやれなかった……。
 結局俺は何もできない、無力な人間だった。友達一人助けてやることのできない……。
 そう思った———





 目が覚めると、時刻は午前6時40分。
 アラームより早く目が覚めていた。

「夢か———」

 そう呟きながら上体を起こすと、頬を何が伝っていった。

「……?」

 それは涙だった。夢で泣いてたのか。
 ベッドから出ると、俺はリビングに向かった———





 朝飯のトーストを食べ終えた俺は、制服に着替え、洗面所に向かい歯を磨き顔を洗って、洗面所を後にし、リビングのテーブルの上にあるベレッタM93R改とDE(デザートイーグル)をそれぞれ1挺ずつとフォールティングナイフを仕舞い鞄を持ち上着を着て家を出た。

 因みに今日は、逆刃刀を持って行かない。間違ってももう一度抜きたくないからである。
 この時の時刻、午前7時52分。
 そしてバス停に向かった。

 バス停に着くと午前7時55分。うん、ちょうど良い時間だ。
 因みに俺が乗るバスは午前7時58分にここ第3男子寮の前を発車するバスである。
 そしてバスが来たので乗り込むと、後ろからキンジが乗ってきたので話しかけた。

「おはよう。今の気分は?」

 酷いと分かりながらも弄らずにはいられなかった。そんな俺は最低かな? 

「最悪だ。あんな奴ら(死ね死ね団)の元に戻るのは」

 うん、分かるよ。あそこは武偵高屈指の狂人集団がいるからね。

「ドンマイ(他人事)」

 ほぼ毎日の様に通ってる俺にとってはどうでも良いんだがな。

「お前絶対他人事だろ」

 当たり前ですよね。まあ、知らないふりでもしとこ。

「何のことかなぁ」
「お前な……」

 なんか、呆れたような顔されたよ。なんかどんよりムードになりそうだよ……。話題でも変えてみるか。

「それより」
「ん?」

 前置きした俺は、小声でこう言った。

アリア(あいつ)はどうなった?」
「ああ、昨日も話したけど、とりあえず俺が降伏したから自室に戻って行ったぞ」
「で、今日はあそこに戻ると」
「そうだ……」
「お互い大変だな……」
「ああ……」

 他人から見ると、凄く不気味な光景に見えそうだなこの会話。だって、キンジ(ネクラ)シュウヤ(陰キャ)だよ? やばいオーラ出まくりじゃん。
 そんな状況でも構わずに会話している間に、武偵高に着いたのでキンジと別れて、2年C組の教室に入っていった。

 入ると窓際の席に、ヘッドホンを付けた狙撃科(スナイプ)Sランク武偵の天才狙撃手、麒麟児レキが座っていた。あいつとキンジとは何回かパーティーを組んだな。
 どうでもいいが、レキの苗字は不明。本人も知らないらしい。

 相変わらず何を聞いているのか気になるが、考えないことにしておこう。
 普段と何も変わらない自分の教室を見渡しながら、自分が今いるのは武偵高における何一つ変わらない日常の中だということを感じていた。

 相変わらず賑やかで、硝煙臭い教室。
 たまに空薬莢の落ちている廊下。
 そして、相変わらず無人で沈黙を守っている俺の隣の席。

 俺の席は6列あるうちの廊下側から3番目の列の一番後ろ。
 どういうわけだか始業式の日からこの席に座るものはいない。
 普通に考えてあまりの机は無いはずだが俺の隣の席は置いてあるのである。———不思議だ。
 HR開始のチャイムが鳴ったので俺は席に着いた。 
 

 
後書き
今回はここまで 
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