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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百四十六話 ビロードその十五

「そこでも人気があるし」
「美男子の作家さんとしてモ」
「そうだよ、しかも太宰の実家は大地主だったし」
「今も政治家さんよね」
「当時の一番上のお兄さんもそうだったよ」
 もっと言えば父親もそうだった。
「政治家だったんだ」
「そうよネ」
「とにかく家柄もよかったから」
 このことも作品に影響している。
「青森の方で有名な家だよ」
「それで余計になのネ」
「もてたんだ」
「そうだったノ、けれど私としてハ」
「自殺しているから」
「芥川もそこがマイナスだシ。それニ」
「あっ、二人共優男だね」
 先程の強さからだ、僕は察して言った。
「そういえば」
「日本人好ミ?」
「そうだね、太宰は大柄だったらしいけれど」 
 一七五あったらしい、当時ではかなりの背丈だ。
「二人共スポーツとは無縁で結核だったし」
「その病気だったノ」
「そうでもあったし」
「これから行くところでも紹介されてるわネ」
「脚気と梅毒、結核はね」
 もうこの三つはだ。
「幕末でも維新でもね、さっき話した通りね」
「日本に蔓延していテ」
「脚気だけじゃなかったから」
 森鴎外がやらかしたこれだけでなくだ。
「結核もだったから」
「幕末だと沖田総司とか高杉晋作とカ」
「あと陸奥宗光もそれで死んでいるから」
「深刻だったのネ」
「それで芥川も太宰もね」
 二人共だ。
「結核だったから」
「痩せていたのネ」
「写真で見る通りね」
「そうだったノ」
「結核は本当に怖かったから」
 終戦直後にペニシリンが出るまではだ、何でも昔は肺の感染している部分を潰して助かっていたらしい。
「幕末でも沢山の人が死んでるよ」
「沢山の人が感染しテ」
「それでね」
「太宰もだったノ」
「自殺したけれど」
 それでもだ。
「太宰はどのみちね」
「長生き出来なかったノ」
「結構進行していたみたいだから」
 吐血も酷かったらしい。
「ペニシリンはもうあったけれど」
「日本にも出回ってタ?」
「そろそろね、けれど」
 それでもだ。
「手遅れだったみたいだし」
「そこまで酷くなってたノ」
「そうみたいだから」
 それでだ、まさに。 
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