夢幻水滸伝
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第百十一話 北極と地下世界その八
「付き合いもないしな」
「お互い別の寮におるしな」
小泉は男子寮、玲子は女子寮だ。
「それやとな」
「同じクラスになったこともない」
「そやったらな」
「これから馴染みになってくか」
「そうなるな」
「あの、確かですね」
象人で漆黒の日本の礼装、陰陽師のそれを着た男が言ってきた。大柄でその目には深い叡智がある。
天異星横溝浩成である、彼も帰化しておりフランスプロヴァンス出身だ。職業は陰陽師であり手にしている神具は陰陽術にも使える明護身剣、魔力を上げてくれるセーマンドーマンの印が描かれた紋章、知力を上げてくれ陰陽術も教えてくれる金鳥玉鬼集の三つである。
「お二人は母方が」
「そや、私のお母さんが姉でな」
「私のお母さんが妹だ」
小泉と玲子は横溝にそれぞれ話した。
「二人共八条学園高等部に通っていたが」
「そこで私のお母さんがお父さんと知り合ってな」
「それで、ですか」
「大学卒業と同時にや」
小泉は横溝に話した。
「お父さんはイギリスに戻って八条グループの関連会社に就職してな」
「お母さんはですね」
「一緒に行ってな」
「それで、ですか」
「私はロンドンに生まれてな」
そうしてというのだ。
「暫くダウンタウンにおった」
「それでコックニーも喋られるのですね」
「そや」
英語の中でも独特のそれをというのだ。
「それで僕が十歳の時に日本に転勤になって」
「それからですか」
「ずっとこっちにおって」
日本、この国にというのだ。
「そうしてや」
「国籍もですね」
「日本になったんや、何でもずっとこっちに住むそうでな」
家族単位でというのだ。
「お父さんとお母さんは京都におってそこで働いてるわ」
「そうですか」
「というかな」
漆黒の毛のミノタウロスの男だ、赤い山伏の服を着ている。天闘星田山幸平である、スペイン人の名前はラファエル=ゴイテイゾーロといいスペインバスク地方の出身だ。種族と職業は外見の通りであり持っている神具は己の魔力と知力を上げてくれる武器の役小角の杖と阿弥陀如来の鉢、そして金剛界曼荼羅の三つだ。
「私等五人、北極の星のモンはな」
「全員ですね」
「欧州からの帰化人やからな」
「そうですね」
「私も家族の移住でな」
それでとだ、田山は横溝に話した。
「お父さんが和歌山で農業はじめて」
「そこに移住されて」
「それで帰化したからな」
「私は父が日本の大学に転勤しまして」
横溝も話した。
「フランス文学者として」
「それでやな」
「やはり家族で移住して」
そしてというのだ。
「帰化しました」
「そやな」
「それでや」
小泉がまた言った。
「私等全員や」
「帰化人ですね」
「日本へのな」
「そや」
まさにというのだ。
「全員な」
「それはな」
日毬も言ってきた。
「それぞれの事情があるな」
「地下世界は女の子ばかりで」
愛が日毬に応えた。
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