夢幻水滸伝
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第百十一話 北極と地下世界その四
「やはり強い」
「というかです」
ここで言ったのはホビットのメイドだった、身長は碧よりは少しだけにしても高い感じだ。黒髪で日に焼けた褐色の肌に黒い瞳である。全体的にポリネシア系の感じでメイドのスカートはくるぶしまである。メイド服の白と黒のコントラストも目立っている。
地隠星セーラ=プリチャードである、出身地はフィジーであり職業はメイド服であるが料理人である。持っている神具は金の箱入りの食器と不思議の国のアリスに出て来るアリスの胡椒である。どちらも使った料理の味をよくしてくれる。
「奈良ってほんまに」
「奈良生まれでないとだな」
「わからへん部分も多いですね」
「それぞれの地元がな、それでだ」
日毬はセーラに言った。
「私もだ」
「東京については」
「よく知っているつもりだ」
「やっぱりそうですか」
「だが幸田君と永井君は葛飾でだ」
それでというのだ。
「私は新宿の辺りでな」
「住んでる場所がちゃうので」
「それでだ、詳しい地域は違う」
同じ東京といえど、というのだ。
「そこはわかっておいてくれ」
「そういうことですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「このことはな」
「そういえば」
今度は褐色の土色の肌に黒髪の少女が言ってきた、童顔で明るい顔立ちをしている。赤い褐色の肌と上着の上に鎧を着けている。
人勇星トウジ=パッタライである、プータン出身で職業はドラゴンナイトだ。種族は土の精霊である。持っている神具はあらゆるものを貫く槍であるシューラ=ヴァラである。
「あの娘達奈良でも南は」
「あまりだな」
「知らんって言うてます」
「何でも奈良はな」
日毬もその奈良について話した。
「北は栄えてるが」
「この平城京といい」
「郡山、橿原、高田、桜井とな」
「あと宇陀もですね」
「五條位や王子位まではな」
こうした地域まではというのだ。
「栄えてるが」
「それでもですね」
「南になるとな」
この地域はというと。
「山ばかりでだ」
「人が少ないですか」
「吉野ですらかなり南だが」
それでもというのだ。
「まだ入り口に過ぎない」
「あの」
ここで右手を挙げて白い肌と髪の毛のショートヘアの少女が言ってきた、一見すると日本の魔物雪女だが雪の精霊という種族だ。白い上着とズボン、ブーツに白い鎧という白づくめの恰好も雪の精霊らしい。
人傑星カウサリア=アーチャーリアである、ネパール出身で職業はペガサスナイトであり持っている神具は強力極まる槍ヴァジュランダである。
「私ネパール人ですが」
「ネパールと比べるとか」
「流石に」
「奈良の南もだな」
「ましやと思いますが」
「そうだな、しかしだ」
「住みにくい場所なんで」
「人はまばらでだ」
それでというのだ。
「開けていない」
「そうですか」
「人は住みやすい場所に集まる」
どうしてもそうなる、あえて住みにくい場所に棲みたいと言う者はぞそうそうはいないということである。
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