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夢幻水滸伝

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第百十一話 北極と地下世界その一

                第百十一話  北極と地下世界
 唐招提寺での諸勢力の案内は美鈴だけでなく日毬もいた、日毬は今は黒髪を首筋の高さで切り揃えた黒い大きな瞳と白いはっきりとした顔立ちの少女に言っていた。
「私は東京で生まれ育っているが」
「唐招提寺に詳しいわね」
「小学校、中学校の修学旅行で来た」
「二回来てるのね」
「どちらの修学旅行も奈良に京だった」
 行ったのはというのだ。
「だからだ」
「唐招提寺にも来て」
「そうしてな」
「そうなのね」
 少女は白いミニスカートに赤とオレンジの上着、そして白い手袋とブーツという恰好だ。この少女も当然星の者だ。
 天富星江戸川愛、仲間達と共に地下世界を統一し治めている。日本の三重県出身で種族は人間、職業はロードだ。持っている神具はレーザーソードに光線銃、目にかけるとあらゆるものが見えるゴーグルという科学的なものの三つだ。
「そう言われたら私は」
「三重出身だったな」
「ええ、けれど小学校の修学旅行は名古屋で」
 そちらだったというのだ。
「それで中学は長野県でスキーだったわ」
「それでか」
「奈良の方は」
「隣の県でもか」
 奈良県と三重県、この世界では大和と伊勢の昔の国のままだ。だがどちらの世界でも隣同士であることは同じだ。
「それでもか」
「ええ、一回行ったことはあっても」
「一回だけか」
「そうなの、だからね」 
 それだけしか行っていないからというのだ。
「日毬ちゃん程はね」
「知らないか」
「そうなの」
「私は元々寺社に興味があるしな」
 日毬はサングラスをかけた顔で答えた、今もそれは外せない。
「だからだな」
「余計になのね」
「唐招提寺に詳しい」
「そうなるのね」
「それは私もだな」
 黒髪をショートにしやや浅黒い肌の一五五位の背丈の少女だ。愛より五センチ程小さい。やや切れ長の大きな黒い吊り目に凛々しい眉と一文字の口を持っている、耳はエルフのものに似ており白うワンピースのロングスカートとブーツに黒タイツ、そして手は黒いアンダーという恰好で胸には鎧を着けていて右手に大鎌、左の腰に剣があり左手には大きく禍々しい爪を着けている。三つ共神具である。
 天満星壇玲子だ、愛と共に地下世界で統一の為に戦い今も行動を共にしている。種族は魔族で日本の京都出身だ。職業は冒険者で持っている神具はアダマスの鎌、炎の剣ヒノカグツチと左手の甲賀の爪である。
「京都だから隣だが」
「それでもだな」
「案外奈良には行かない」
 隣でもというのだ。
「地元はやたら観て回るが」
「京都のだな」
「そうしているが」
 地元の寺社は観て回っているがというのだ。
「それでもな」
「奈良にはだな」
「あまり行かなくてだ」
 それでというのだ。
「詳しくはない」
「隣の場所はかえってだな」
「そうだ、詳しくない場合もある」
「案外行かなくてな」
「特に京都人はそうかもな」
「三重もね」
 愛も言ってきた。 
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