夢幻水滸伝
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第百十話 争わずともその四
「それはまた」
「つまり私は徹底してたい」
「アンチ巨人ですか」
「そうたい、そして愛するのは」
「ホークスですね」
「そうたい、そして今年もたい」
今年のペナントもというのだ。
「リーグ制覇してたい」
「シリーズでも勝って」
「日本一たい」
それを勝ち取るというのだ。
「そうなるたい」
「そうですか、わしは実は広島好きですが」
「野球はたい」
「八条リーグでも広島のチームを」
八条グループが経営している日本のもう一つのプロ野球リーグだ、尚ジャイアンツという名前のチームはこのリーグには存在していない。その名前が既に不吉だとして忌まれているからのことである。
「サッカーも」
「そうたいか」
「ですが広島とソフトバンクは」
「接点がないとよ」
「そうですよね」
「地域は近いたいが」
福岡と広島でだ。
「それでもたい」
「接点が少ないですね」
「どうしてもそうたい、だからとよ」
「山田さんにしてみれば」
「カープは特にたい」
「意識されてませんか」
「嫌いではなかとよ」
このことは絶対と言うのだった。
「しかしたい」
「好きかと言われますと」
「好きでもないとよ」
「そうですか」
「そうたい、基本セリーグのチームはそうたい」
巨人以外のチームはというのだ。
「私は好きでも嫌いでもないとよ」
「ではパリーグのチームは」
「こっちもたい」
同じリーグのチームもというのだ。
「バファローズは親会社が代わったたいしな」
「あまりにも人気がなくしかも弱かったので」
「だからとよ」
「そのこともよかったですね」
「全くたい、しかし」
「それでもですか」
「巨人は大嫌いたい」
このチームについてはというのだ。
「何しろ怨み骨髄とよ」
「先程申し上げられた通りに」
「そうたい、かつてシリーズでは何度も負けたたい」
昭和二十年代から四十代にかけてだ、戦後日本がどれだけ悪がはびこっていたのかがこのことからもわかるであろう。
「選手を何度も強奪されたうえにとよ」
「何というか」
鹿人で紫のドレスを着て洒落た貴族の帽子を被った少女が言ってきた。地耗星マリーメイア=ロワである。カナダのオタワ出身で職業は獣使いである。持っている神具は使えば多くの者の傷を瞬時に癒すボワーンの杖と音を鳴らすだけでモンスター達を操ることが出来武器にもなるブリギットの鞭の二つだ。
「怨念を感じますね」
「実際怨念あるとよ」
「やっぱりそうですか」
「とにかく私ァ巨人が嫌いたい」
「それも大嫌いですね」
「超嫌いとよ」
その域に達しているとだ、美鈴はマリーメイアに話した。
「あのままずっと負けていて欲しいたい」
「まさに怨念ですね」
「そうたい、こっちの世界の巨人も嫌いたいが」
「いつも急に出て来て暴れるのが」
「強かことと共に嫌とよ」
「全くですね、最近は太平洋には出ませんが」
このことは大体中里がこの世界に来てからのことだ、もっともそれまでもこの地域と地下世界にはあまり出ていなかった。
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