夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百九話 鱈と共にその一
第百九話 鱈と共に
アレンカールはこの日の夜はアフリカの星の者達が泊まっている宿にいた、そうして棟梁の座から言うのだった。
「今日はここに泊まるわ」
「そうするんやな」
「ええ、そうするわ」
ゴーディーマーにも答えた。
「思いきり飲んで食べてね」
「そうか、ほなな」
「ええ、今から食べましょう」
「今日の料理は」
その料理を見つつだ、ゴーディマーは述べた。
「鍋やが」
「ええ、日本に来てからよくお鍋を食べるわね」
「今日は鱈やな」
この魚の鍋だというのだ。
「実に美味そうやな」
「そうね、これはこれでね」
「鱈は」
今度はシャーデーが言ってきた。
「随分あっさりとした味で」
「アフリカではあまりない味ね」
「ちょっとな、川魚とは違ってな」
「ナイジェリアにも海あるでしょ」
「あるけど川魚もな」
こちらもというのだ。
「よお食べるし」
「そうなの、それを言えばね」
「ブラジルもやな」
「そうなのよね、アマゾンじゃね」
この広大な川の流域ではというのだ。
「こっちの世界でもね」
「川魚食べるな」
「だってそこにいるのよ」
アマゾン川流域にというのだ。
「だったらね」
「そこにあるもの食べるな」
「そう、だからね」
それ故にというのだ。
「アマゾンやと川魚食べるわよ」
「そやな、もっともこっちの川魚はな」
ゴーディマーはアフリカのそれの話もした。
「ちゃんと火を通してないとな」
「危ないわね」
「虫がな」
寄生虫、それがというのだ。
「怖いからな」
「それがどうしてもあるわね」
「そや、あと肺魚なんてな」
この魚はというと。
「虫がおるだけやなくてな」
「味もよくないわね」
「そやからな」
だからだというのだ。
「あれは食べん方がええ、あとゴンベッサやが」
「シーラカンスね」
「こっちの世界ではよおさん獲れてな」
このことは彼等が起きた世界とは違う、極めて稀少な魚ではないのだ。少なくともこちらの世界ではそうである。
「食おうと思ったら食えるが」
「まずいらしいわね」
「全然あかん」
その味たるやというのだ。
「そもそもゴンベッサって名前自体がや」
「まずいっていう意味だったわね」
「そやからあかん」
この魚もというのだ。
「こっちは海にもおるけどな」
「というか」
フルルが言ってきた。
「元々あの魚は海にいるものでは」
「起きた世界ではな」
「こちらの世界では淡水にもいる」
「それでや」
その為にというのだ。
ページ上へ戻る