夢幻水滸伝
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第百八話 低い山なれどその十三
「僕っちは、そして友達もです」
「大勢いてか」
「そしてエイズがなければ」
この病気の話もするのだった。
「最高ですわ」
「エイズか」
「エイズは最悪です」
ヘッドは顔を顰めさせて言い切った。
「我が国にも多いので」
「ボツワナにもか」
「ですから」
「エイズがないとか」
「このこともあれば」
それならというのだ。
「僕っちにとっては最高ですわ」
「とかくエイズが問題か」
「ボツワナでは多いので」
「深刻な問題か」
「アフリカの南はそうですね」
「南アフリカもだな」
「そうです」
その通りだとだ。ヘッドは吉川に答えた。
「困ったことです」
「それもかなりだな」
「何とかしなければ」
「この世界でもそうした病はあるがな」
所謂性病である、エイズだけでなく梅毒や淋病等もある。
「治療出来るからな」
「術でも医学でも」
「どちらでもな」
「エイズ用の特効薬もあり」
「あれはかなり凄い」
「あの、確か」
ジオンゴが考える顔で言ってきた。
「起きた世界で梅毒は」
「かつてはな」
吉川も答えた。
「多くの犠牲者を生んだ」
「そうでしたね」
「コロンブス一行がアメリカ大陸から持ち込んだと言われているが」
この説がかなり唱えられている、尚淋病は古来からあるという。
「その頃からだったな」
「人類を苦しめたんですよね」
「この世界にも存在しているしな」
「そうですよね」
「だが起きた世界ではペニシリンがあり」
梅毒を治すその薬がだ。
「そしてこちらの世界でもな」
「特効薬がありますね」
「ペニシリンがな」
「こちらの世界は医学も進んでいるので」
「あと術もあるし」
ジオンゴの横からスライムが言ってきた、高いメゾソプラノの女の声だ。
「だから梅毒もね」
「治るんだよね」
「大変な病気でもね」
「そしてエイズもだ」
吉川はあらためて述べた。
「有り難いことにな」
「それが本当にええです」
ヘッドがまた言ってきた。
「僕っち的には」
「そうだな」
「はい、それで楽園は」
「人それぞれだ」
吉川はまたこう述べた。
「そしてだ」
「人全体が楽園に至ることは」
「一人一人ならともかく」
「全体は難しいですか」
「最大限でも各宗教の話だ」
人類全体ではなく、というのだ。
「キリスト教ならキリスト教でだ」
「イスラム教ならイスラム教ですね」
また言ったビークだった。
「そして他の宗教も」
「そうだ、その単位だ」
「哲学でもですね」
「そうなる、無理に推し進めるならだ」
楽園の実現、それをというのだ。
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