戦国異伝供書
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第五十八話 出家その十三
「麿としてはでおじゃる」
「宜しいですか」
「麿もそれでいいと思うでおじゃるしな」
自分も同じことを考えているというのだ、送る兵の数は二万五千でいいということをだ。
「だからおじゃる」
「さすれば」
「兵の数は二万五千でおじゃる」
この数にするというのだ。
「それで尾張に進むでおじゃる」
「わかり申した。では」
「出陣でおじゃるな」
義元はその用意に入った、ここで天下は大きく動くことになるがこのことは誰もまだ知る由もなかった。
それは信玄も同じだった、彼は川中島に着いたところで駿河のことを聞いてもこう言うだけであった。
「こちらに向けたものでないならな」
「今はですか」
「構いませぬか」
「うむ」
家臣達に迷いのない声で答えた。
「それでは」
「それではですな」
「我等はこれよりですな」
「この川中島において」
「いよいよ」
「戦じゃ、してじゃ」
信玄はさらに言った。
「まずは源助を待つぞ」
「後少しでここに来ます」
信繁が答えた。
「ですから」
「うむ、待とうぞ」
「そして源助が来たならば」
「軍議をはじめる」
謙信、彼に勝つ為のとだ、こう言ってだった。
信玄はまずは高坂を待った、そうして程なくして高坂が海津城から来た。そうして信玄の前に参上するのだった。
第五十八話 完
2019・7・16
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