| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百四十三話 古典であるものその一

                第二百四十三話  古典であるもの
 小夜子さんは校舎に戻ってから僕にこんなことを言った。
「お話の続きですが」
「古典のかな」
「はい、古典も色々ですね」
「そうなんだよね、というかね」
「というか?」
「学校の授業に使われるけれど」
 まさにその古典の授業でだ。
「それでも堅苦しくはね」
「思うことはないですね」
「紫式部だってね」
 その源氏物語の作者だ。
「格式ある作品とかね」
「意識していなかったですね」
「あくまで娯楽で」
 宮廷の女官達のだ。
「それに過ぎなくて」
「特にですね」
「娯楽以上の意味はね」
「なかったですね」
「実際に娯楽だよね」
 源氏物語はだ。
「恋愛小説で」
「かなり長くて難しくても」
「それでもね」
 それでもだ。
「娯楽だよ、ライトノベルや漫画だよ」
「今で言う」
「そんな風でね」
「難しくないですね」
「そんな堅苦しく読んでも」
 それこそだ。
「意味がないから」
「そうなのですね」
「今の文学だって」
 こちらもだ。
「別にね」
「堅苦しくはですか」
「夏目漱石だって」
 この人にしてもだ。
「そんなね」
「教科書に載るとか」
「そうしたことは考えていなくて」
「娯楽ですか」
「吾輩は猫であるにしても」
 言わずと知れた漱石の代表作の一つだ。
「別にね」
「難しくはないですね」
「森鴎外もね、というか昔は小説は」
 このジャンル自体がだ。
「扱い悪くて」
「あっ、哲学書の方がですね」
「学生が読むものはね」
 そして学者さんがだ。
「そういう難しいもので」
「小説は扱いが低かったのですね」
「そうだったしね」
「小説を読むには」
「もう源氏物語でも」
 この作品でもだ。
「特にね」
「高尚とはですね」
「考えてなかったし」
「では源氏物語を読むにあたっては」
「楽しめばいいと思うよ」
 高尚と思わずにだ。
「紫式部さんもそんな考えなかっただろうし」
「娯楽としてですね」
「本当に今で言うと漫画か」
「ライトノベルですね」
「そんなものだったから」
 それでだ。
「いいと思うよ」
「それでは」
「そうして読んでね、まあそれでもね」
 あらためて源氏の君について思った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧