嘘と真実の結末
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第四章
それでだ、ハントゥアは真剣な顔で述べた。
「俺でないとだ」
「ハン=ジュバ殿は止められない」
「そう言われますか」
「そうだ、今からスルタンのお前に向かう」
こう言ってだ、そのうえでだった。
ハントゥアは王宮の者達と別れてだった、わき目も振らず駆け続け。
そうして王宮に向かった、怒り狂い完全に我を忘れている逞しく岩の様な顔をしている大男がスルタンの間に押し入った瞬間に。
「待て!」
「!?」
ハントゥアが彼の目の前に現れた、彼の後ろから部屋に入ってだ。回り込んでその前に立ち塞がったのだ。
それでだ、ハン=ジュバに対して告げた。
「スルタンの御前だ、控えろ!」
「ハントゥア、生きていたのか」
「そうだ、若しこれ以上何かするならだ」
その時はというのだ。
「俺が相手になるぞ」
「待て」
ここでだ、玉座からだった。
スルタンが告げた、そうして二人に言うのだった。
「そなた達が争ってはならない」
「スルタン、そう言われますか」
「余は命じた」
スルタンとしてとだ、威厳に満ちた声で告げるのだった。
「今な、二人共控えろ」
「では」
二人は従ってそうしてだった。
スルタンの前にそれぞれ膝づいた、自然と横に並んでそうしていた。
その二人にだ、スルタンは言った。
「ことはハントゥアそなたからだった」
「私の弑逆の疑いですね」
「それを聞いてそなたに直接聞こうとしたが」
「そうだったのですね」
「それがどういう訳かそなたを処刑したという話になってだ」
それでというのだ。
「ハン=ジュバがここに来た」
「はい」
ハン=ジュバも答えた。
「スルタンにことの次第をお聞きしようと」
「怒ってだな」
「そうしました」
「そうだな、しかしだ」
「それはですか」
「誤解だ、それはわかったな」
「今ハントゥアに会って」
それでとだ、ハン=ジュバも理解して応えた。
「確かに」
「そうだな、しかしこれで余は確信した」
今度はだった、スルタンはハントゥアを見ながら話した。
「そなたは余を殺そうとは思っていない」
「信じて頂けますか」
「元々まさかと思っておった」
スルタンにしてもだ。
「それでそなたに聞こうと思っておったが」
「今日のことで、ですか」
「わかった、このことはよしとする」
「左様ですか」
「だがどういう訳かだ」
今度はハン=ジュバを見てだ、スルタンは述べた。
「余がハントゥアを処刑したと噂が立ってな」
「はい、私もです」
ハン=ジュバもスルタンに畏まって応えた。
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