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妖刀を抜いた男

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第三章

「もうな」
「妖刀に操られてる」
「妖刀に人斬り剣士の怨霊が宿ってる」
「もう妖刀と一体化してるかもな」
 田山はこうも言った。
「それこそ」
「ほなここは」
「そや、妖刀自体をどうにかせんとな」
 それこそというのだ。
「エルフの子を何とかしても意味ない」
「妖刀は別の操る相手見付けて操って人を斬る」
「そうするさかい」
「妖刀自体潰すで」
 こう話してだった、二人で少年もっと言えば彼を操る妖刀を追っていった。行き先は斬られた者の骸、ならず者のそれが教えていた。
 それをつけていって田山は坪内と共に先に進んでいった、そして遂に相手を見付けたのはある村の手前だった。
 幸いここまで盗賊や追剥等ならず者達以外は殺されていない、二人はこのことに安堵していたが少年もっと言えば彼を傀儡としている妖刀が村に入ろうとしているのを見て。 
 田山はミノタウロスの牛の顔を険しくさせて坪内に言った。
「ええな」
「ああ、ここでやな」
「止める、さもないとな」
「あいつが村に入ったら」
「村人皆殺しや」
「洒落にならんことするわ」
「そうなるに決まってるさかい」
 それでというのだ。
「ここはな」
「ここで終わらせるな」
「そうするわ」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人で村に入ろうとする少年の前に回り込んでそれぞれの武器を構えた、そのうえで少年を見るとだった。
 エルフの目は赤目族の様に赤それも禍々しいものになっていて髪の毛は波立って動いていた。そして全身をドス黒い瘴気が覆っていた。
 その彼を見てだった、田山は自分の隣にいる坪内に話した。
「もうこれは」
「完全に憑かれてる」
「そうなってる」
「予想通りやったな」
「残念ながらな、ほな」
「ここで止めるか」
「斬る」
 妖刀から声がしてきた、少年の口は動いていないのでそれが明らかだった。
「斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る」
「そんなに斬りたいのなら大根でも斬ってるんや」
 田山は怨念を言葉に出す妖刀にこう返した。
「人やなくてな」
「斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る」
「斬ることしか考えてへんな、ほな」
「妖刀潰すか」
「そうするか」
 田山は今度は坪内に応えた、そうしてだった。
 二人はそれぞれの術でまずは自分の身体能力や防御力、そして攻撃力を高めてだった。
 万全の状態になり妖刀に向かった、妖刀は少年の手にあるがまさに妖刀だけで動く様におぞましい光を放ち続け。
 二人を斬ろうと襲い掛かってくる、星の者でありしかも格闘戦も出来ている二人にしても妖刀にはてこずった。 
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