インフィニット・ストラトス ~自由と正義の騎士~
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五反田家
先ず私は顧問弁護士の藤林響子さんと供に、五反田家に向かった。
閑静な住宅街に在る大衆食堂。
そこが五反田弾の実家だ。
扉に【準備中】の札が掛かっており暖簾もまだ出ていない。
私はその扉を開けて中に入ると、中から割烹着姿の男性が此方を見て声を掛けてきた。
「済みませんね。まだ準備中なんですが」
「御忙しい所申し訳ありません。私は七草達也と申します。そして、此方は弁護士の藤林響子さん。今日は五反田弾君の事でお伺い致しました」
そう言うと、割烹着姿の男性を仕込み作業を中断し此方を睨んできた。
「弾の事だと?少し待ってな。娘の蓮を呼んでくる!」
そう言って奥に引っ込む男性。
私達は近くのテーブル席に座り待つ事数分。
奥の方から男性と供に現れた1人の女性。
観るからに彼女が弾君の母親【五反田蓮】のようだ。
「初めまして。私は五反田弾の母【五反田蓮】です。此方は、私の父にて弾の祖父の【五反田厳】です」
「初めまして、私は七草達也。そして此方は弁護士の藤林響子先生です。本日お伺いした理由は弾君の事です」
「弾は、弾は見つかったのですか?」
「えぇ、数日前に私供が保護致しました。本来なら、直ぐにでも此方に連れて来る気だったのですが………」
「今、何処に弾は居るのですか?」
「それは御応え出来ません。彼はこの家に戻るつもりが無いと言っています」
「何だと!それはどう言う了見だ!お前さん?」
私の言葉に目くじらを立てながら睨んで怒鳴る五反田厳に、響子さんは診断書を二人の前に提出する。
「此方は、五反田弾君の診断書です。彼の身体には虐待を受けた痕跡が多数存在していました。まさか、身に覚えが無いとは言いませんよね?」
「そ、それは躾の為に殴ったのは数回在るが………」
「そ、それは我が家の問題です!他人の貴方達には関係が無い事じゃなくって?」
「いいえ、貴方達が行っているのは虐待です。この事を児童相談所と警察に通報すれば、どうなるか解りますよね?」
そう言って響子さんは1枚の書類を提出する。
「これは?」
「此方の書類は、養子縁組みに関する書類です。弾君を七草家の養子として迎えると言う事です」
「「なっ!?」」
響子さんの言葉に驚愕する2人。
私は最後の後押しとばかりに言葉を発した。
「簡単な話しです。此方にサインして居たければ、これまで弾君に掛かった養育費を支払い、この事を今後一切口外しないと言う事です」
私は持っていたアタッシュケースを開けて2人の前に差し出す。
ケースの中身は1000万が入っている。
2人は1000万と言う大金に言葉を失っていた。
「どうでしょう?これでサインをお願い出来ませんか?弾君は、我々夫婦が責任を持って育て上げますので」
「少し考えさせて下さい。お父さん、ちょっと」
そう言って2人は奥に引っ込む。
どうやら2人は1000万と言う大金に目が眩んだ様だ。
すると響子さんは、少し悲しい表情を見せて呟く。
「本当に愛情があれば、大金を目の当たりにしても拒否するのですが…………」
「それだけ、弾君に愛情を向けていない証拠です。悲しい事ですが……」
そう話していたら、2人は奥から再び現れた。
「解りました。此方の書類にサイン致します。弾の事宜しくお願い致します」
五反田蓮は、そう言って速やかにサインと捺印を押す。
母親として、彼女は失格だと改めてしらされた。
書類のサインと捺印を確認する響子さん。
「問題は在りません。これで、弾君は七草家の養子と言う形になりました」
「ありがとうございました、藤林先生。では、我々は此にて失礼します。あっ、後1つだけ………」
「な、何でしょう?」
私は濃密の殺気を二人に放ち忠告する。
「今後一切、弾に近付かないで下さい。これは弾の為であり、貴女達の為でもある。もしも忠告を無視するのなら…………貴女達を消す!」
その言葉を残して私達は、五反田家を後にした。
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