ある晴れた日に
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75部分:優しい魂よその十
優しい魂よその十
「どっちでもな。いけるぜ」
「そうなのかよ」
「で、今はな」
「どっちで弾くんだ?」
「どっちでもいいぜ」
言いながらギターを背中から出してきた。
「このギター一応両方いけるしな」10
「また便利なギターだな」
「そうだろ。家に昔からあったやつでな」
笑顔で春華に語る。
「ギターはじめてからな。こうしていつもな」
「持ってるのね」
「そうさ。じゃあどっちで弾いて欲しい?」
「どっちでもいいけれどな」
「ねえ」
野茂と奈々瀬が言った。
「正直なところな」
「両利きならそれでいいけれど」
二人はこのことにあまり思うところはないようである。
「けれど何弾くつもり?」
「何なの?」
「右だとロックでな」
桐生と凛に返す。野茂と奈々瀬の言葉には動じたところもない。
「左だとバラードのつもりなんだけれどな」
「そうするつもりなのかよ」
「つまりどっちの曲か選べってことね」
「そういうことさ。それでどっちにするんだ?」
「花火よね」
咲はこのことに注目した。
「それだったらやっぱり」
「バラードか?」
「まさか」
咲はそのことには首を横に振った。
「それはないわよ」
「ないのかよ」
「バラードって静かな曲じゃない」
咲はこのことを言う。
「そうでしょ?だから」
「右かよ」
「咲はこう思うわ」
実際に自分の考えも述べた。
「これだけ騒がしいしね」
「そうよね。今はロックよね」
静華も咲に同意した。
「騒がしいしね。乗りたいわ」
「やっぱりそうなるわよね」
茜も咲や静華と同じ考えであった。
「私もロック」
「私もね」
二人も意見を述べてきた。
「そうだよな。俺も」
「俺もそっちだな」
坂上と佐々も同意してきた。
「それでいいんじゃねえの?」
「ここは賑やかにいこうぜ」
「ただし。言っておくけれど」
明日夢は釘を刺してきた。ここで。
「カントリーロックとかは止めてよね」
「ああ、それはないからな」
正道の方もそれは言ってきた。
「ちゃんとな。するからよ」64
「だといいけれどね」
「俺って信用ねえのかよ」
「はっきり言ってあまりないよな」
「そうだよな」
坪本と佐々が言ってきた。
「結構以上にいい加減だからな」
「変な時に変なことするしな」
「変な時って何なんだよ」
二人の問いに半ば反射的に突っ込みを返した。その間にギターを右手にやっている。既にスタンバイはできているという感じであった。
「俺がそんなことするかよ」
「してるじゃねえかよ」
春華の言葉がかなり冷めていた。
「それもいつもよ」
「そうか?」
「あんた昨日カレーの時だってな」
「カレーにあったいい曲だっただろ」
「そういう問題じゃねえよ」
そうではないというのだった。
「問題はその後だろ?」
「その後?」
「何だよ、あの曲」
春華は顔を顰めさせて彼に言う。
「カレーが終った後のあの曲はよ」
「凄い変な曲だったわよね」
凛は言いながら懐から何かを出していた。見ればそれは飴玉だった。黒い飴玉を取り出してそれを口の中に入れる。それを舐めながら隣にいる春華達にそれを差し出す。
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