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おぢばにおかえり

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第五十四話 最後の学期になってその十二

「宜しくね」
「そうして下さい、是非」
「じゃあね。けれどこの一年でね」
 阿波野君もです。
「結構勉強したでしょ」
「それでもです」
「まだまだっていうの」
「正直勉強はじめて一年も経っていないですから」
「ううん、だからわかっていないっていうのね」
「まだまだですよ、絶対」
 自分で言い切ってきました。
「ですから」
「まだ勉強したくてなの」
「一生勉強するものですよね、それに」
「それに?」
「勉強するだけじゃ駄目ですよね、おみちって」
 凄いことを言ってきました、この言葉には正直驚きました。
 それで思わずです、阿波野君に聞き返しました。
「今勉強するだけじゃ駄目って言ったけれど」
「行動が伴うっていうか行動の方が大事ですよね、おみちは」
「そうよ、けれどそこまで言うなんて」
「びっくりしました?」
「仰天したわ」
 もう心からでした。
「そこまでわかっているなんて、そういえば」
 言われてみればでした。
「わざわざ休日おぢばに帰って回廊ひのきしんさせてもらってるし」
「暇ですから」
「いや、暇ならね」
 それならそれで、です。
「遊んだりするじゃない」
「実際に遊んでますよ、ですが一日中遊んでる訳じゃないですから」
 それでというのです。
「ひのきしんと勉強も」
「宇陀からおぢばに帰ってなの」
「してるんです、後は郡山に行こうかと」
「郡山に?」
「そう、あそこに行ってです」
 そうしてというのです。 
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