| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

デート・ア・ライブ~Hakenkreuz~

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十三話「来禅高校修学旅行・Ⅲ」

「ぐっ、いきなり天気が変わっちまったな…!十香、急がないと皆に追いつけないぞ!」

「す、すまんシド―。でも確かに見られている気配がしたのだ!」

暴風が吹き荒れる或美島、その道を士道と十香は歩いていた。既にクラスメイトの姿はなく既に或美島の資料館に向かったのであろう。

そもそも、二人がクラスから離れて行動しているのには訳があった。十香が誰かに見られていると言いそれを確かめるため資料館の方とは別方向に駆けだしたのだ。それを追いかけた士道はうろ覚えの道を先導して歩いていた。

「騒いでいたから地元の人に注目でもされたんだろ。それより…!」

士道は次第に強くなる暴風に身をかがめて耐える。既に暴風は歩くのすら困難な状況にまで強くなっており上空を見れば島を中心に渦巻くように雲が発生している。しかし、雲は島のみで発生しており島の周囲は快晴と言っていいほどだった。

「十香!今は急いで資料館に…」

「シド―!危ない!」

振り返り十香に呼びかけた士道はそのまま十香によって突き飛ばされる。瞬間十香の顔に金属製のゴミ箱が命中した。

「ぎゃぷッ!?」

更に何処から飛んできた別のゴミ箱が十香の顔に追撃を行った。

「ぎゃんッ!」

そして三つ目のゴミ箱が命中し、十香は目を回しながら大の字に崩れ落ちた。

「十香!?大丈夫か!」

士道は十香に駆け寄り肩を揺さぶるが十香からの返事はない。しかし、呻いている様子から死んでいる訳ではないようだ。

「くっ!仕方ない…!」

士道は目を回し気絶している十香を背負うと資料館の方へと歩き出す。しかし、一層強まる強風によってその歩みは亀の様に遅かった。

そしていくらか歩いた時、士道は眉をひそめた。

「あれは…」

渦を巻くように濃くなっている雲、その中心に二つの影が見えた。士道はそれを見て二つの存在を思い出す。この半年で深く知る事となった精霊とASTである。

「でも、空間震警報は鳴ってないぞ…!一体これは…」

例え空間震警報がなっていなくても精霊がこちら側に来る事は出来る。十香や四糸乃、狂三がそうであったように。その為、士道はもしこれが精霊の起こした物なら…、という予想を立てることが出来た。

しかし、それよりも先に士道は十香を連れて資料館に向かう事を優先した。本当に精霊の起こした事なら放っておくことは出来ない。だがそれ以上に十香を安全な場所に移動させるのが先決だった。

「うわっ!?」

瞬間士道を今までとは比べ物にならない強風に襲われる。あまりの強風に体が浮くのではないかと感じた士道は思わず背負っていた十香を地面に降ろし自らも背を丸めて強風をやり過ごそうとした。

すると士道に襲いかかった風は数秒すると止み士道の周辺から風は一切消えた。

「…え?」

士道は思わず顔を上げ周囲を見る。遠くの方では未だ島を覆うように風が吹き荒れているのが確認できる。しかし、士道の周り、いや、士道の目の前にいる二人の少女(・・・・・・・・・・・・・・)を中心に風が止んでいた。

「く、くくくくく…」

と、士道から見て右にいる少女が口から笑いがこぼれる。少女の目には士道は映っておらず相対するもう一人の少女に目を向けている。

「やるではないか、弓弦。流石は我が半身と言っておこう。この我と25勝25敗49引き分けをしているだけの事はある。…だが、それも今日でお終いだ」

妙に芝居がかった口調で話すその少女の言葉にもう一人の少女は表情を変えずに言い返す。

「反論。この100戦目を制するのは耶俱矢ではなく弓弦です」

「ふ、ほざきおるわ。いい加減、真なる八舞に相応しき精霊は我と認めたらどうだ?」

「否定。生き残るのは弓弦です。耶俱矢に八舞の名は相応しくありません」

「ふ…。無駄なあがきよ。我が未来視(さきよみ)の魔眼にはとうに見えておるのだ。次の一撃で、我が颶風を司りし漆黒の魔槍(シュトゥルム・ランチェ)に刺し貫かれし貴様の姿がな!」

「指摘。耶俱矢の魔眼は当たった例しがありません」

「う、うるさい!当たった事もあるし!馬鹿にすんなし!」

士道の目の前で繰り広げられる言葉の応酬。突然の事態に士道はついて行けずただ二人を見ている事しか出来なかった。しかし、この間に士道はある程度彼女たちに対する情報を得ていた。

彼女は精霊であり二人の容姿、全くと言っていいほど瓜二つな事から双子、若しくはしまいなのだろう。双子の精霊などいるのか、士道には分からないがそれでも二人が精霊である事は理解できた。

「漆黒に沈めぇ!はぁぁっ!」

「突進。えいやー」

士道は考察している間に二人の周囲に強風が吹き荒れ同時に地を蹴り突撃する。近くにいる士道は思わず両手で顔を守ると同時に足に力を入れ吹き飛ばされないようにする。

二人の距離が近づくに連れ風は強くなる。自分は琴里の精霊の力で傷を負っても問題ないが後ろで気絶している十香が無事かどうかは分からない。

故に、士道は反射的に叫んでいた。

「ま、待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

「「…!?」」

瞬間四つの瞳が叫んだ士道を射抜いた。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧