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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百三十九話 二重唱その十二

「受けてくれたんだね」
「ええ、そうなの」
「そうだったんだ」
「私から告白するつもりはなかったけれど」
 それでもというのだ。
「実は私もね」
「ひょっとして」
「そう、断られたら怖くて」
「囃されるからかな」
「いえ、振られた時のダメージが凄いっていうから」
 それで受けた傷がだ、失恋を囃されることが痛い理由はその傷をさらに抉られるからだ。だから怨みも深くなるのだ。
「それで自殺する人もいるし」
「ああ、失恋で」
「そう聞いていたから」
「裕子さんもなんだ」
「怖くて」
 それでというのだ。
「するつもりはなかったの」
「そうだったんだ」
「そう思うと貴方の方がずっと上よ」
 裕子さんは青山君に笑ってこうも言った。
「私は怖くて仕方なくて」
「告白しなかったから」
「このままずっといくつもりだったから」
 例え好きでもというのだ。
「傷付くことが怖かったから」
「失恋で」
「それが怖かったから」
 だからだというのだ。
「本当にね、青山君は凄いわ」
「そうかな、僕ずっと決断出来なかったけれど」
「けれど告白したでしょ」
「最後は」
「それがね」
 本当にというのだ。
「凄いと思うわ」
「そうなるのかな」
「ずっと怖くて何もしないのと最後にするのとで全く違うでしょ」
 しないのとするのとではというのだ。
「本当にね」
「だからなんだ」
「青山君の方がずっと凄いわ」 
 裕子さんよりというのだ。
「本当にね」
「こう言うのは凄いんだ」
「私が思うにはね、だから凄いって思うし」
「僕となんだ」
「一緒にいたいって思ったの、告白された時に」
 その瞬間にというのだ。
「そのこともあって」
「告白受けてくれたんだ」
「ええ、だからよ」
「僕が告白を実行に移したから」
「そうよ、私なんてね」
 特にというのだ。
「告白は絶対に無理だから」
「それが出来たから」
「勇気があるから」
 そう思うからだというのだ。
「思ったわ、ただね」
「ただ?」
「いや、告白して失敗したら」
「振られたらだね」
「そんな酷い結末が待ってるの」
「僕はそう聞いたよ」
 青山さんは裕子さんに真剣な顔で話した。
「本当にね」
「振られたことを囃されて」
「ずっとネタにされてね」
「古傷抉られていくのね」
「そうなるって聞いてね」
 それでというのだ。
「僕もね」
「怖かったのね」
「そこまで思ってね」
「私はただね」
「断られたら」
「そう思うのが怖くて」
「告白はだったんだ」
「怖かったけれど」
「失恋ってそれだけではね」
「終わらないのね」
「そう言われるから」
 だからだというのだ。 
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