夢幻水滸伝
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第百三話 大国の狙いその七
「熱燗にして飲んでたそうや」
「それは徹底してるな」
「それも沸騰するまで熱してな」
「そこまで熱したらアルコールとぶんちゃうか」
「それでもや」
その心配はあってもというのだ。
「消毒の為にな、旅行中もアルコールランプ持参でや」
「それでお水熱してか」
「飲んでたらしい」
「殆ど強迫観念やな」
「それで犬も狂犬病で嫌いやったらしい」
「おっと、それはあかんな」
ワーウルフのガーランドはそのことには笑って否定をした。
「狂犬病は犬だけやないわ」
「猫も何でもやからな」
「どんな生きものでもな」
それこそというのだ。
「持ってるわ」
「そやけどな」
「犬が一番よく持ってるからやな」
「そやから狂犬病や」
この名前になるというのだ。
「この名前になった」
「それで泉鏡花さんはやな」
「犬嫌いやったんや」
犬がというのだ。
「これがな」
「そうやねんな」
「まあ今の日本やとないからな」
「ああ、我が合衆国では今もあるけどな」
アメリカでは年に数回今も報告されているという。
「日本はな」
「狂犬病ないか」
「予防接種でなくしたわ」
「それは凄いことやな」
ただし飼っている犬に予防接種をさせないとまた出て来ることは言うまでもない、そうしたことを怠らないことも飼い主の当然のモラルだ。
「日本ならではやな」
「そやな」
「泉鏡花ですね」
ボームもこの作家についての話に入って来た、それも微笑んで。
「あの人の作品は面白いですね」
「ボームさんも好きですか」
「あの人の作品読んでますか」
「はい、日本語を学ぶ中で」
その過程でというのだ。
「読んでいます」
「そうなんですか」
「それで面白いって言いますか」
「はい、ただ」
泉鏡花についてだ、ボームはこうも言った。
「文章は独特ですね」
「日本語は書く人によって文章が違い過ぎて」
ミニーは肉を食べつつボームに応えた。
「難しい人はほんまに難しいから」
「それはありますね」
「読んだところ太宰治や夏目漱石はわかりやすいけど」
「人によってはですね」
「ほんまにわかりにくくて」
「困りますか」
「どうも」
「あの、何か」
オニールはどうかという顔で椎茸を食べつつ述べた。
「尾崎紅葉の文章は」
「泉鏡花のお師匠さんですね」
「あっ、そうなんですか」
「はい、泉鏡花は尾崎紅葉の弟子になり」
そのうえでとだ、ボームはオニールに話した。
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