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夢幻水滸伝

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第百二話 大社の中でその十三

「これはアメリカ人だけやなくて」
「他の国の人もでごわすな」
「はい、英語圏以外にも」
「そんこと魯どんに言われたでごわすよ」
 中国人の彼にもというのだ。
「他ん人にも」
「文字が三種類あって」
「平仮名、片仮名、漢字でごわすな」
「文章も独特で」
 これも違うというのだ。
「それで発音もです」
「同じ発音で漢字が違っていて」
 それでと言ったのはヴェオネガットだった。
「混乱しますし」
「そんで学ぶことにでごわすか」
「苦労しています、それで」
「それで、でごわすか」
「古典の言葉もあります」
 こちらもというのだ。
「これも難しいです」
「それもあるでごわすな」
 北原も古典の言葉については納得した、ただし彼はこちらの科目についても常にいい成績を出している。
「あれは難しかものもあるでごわす」
「特に源氏物語はそうだとか」
「それも言われるでごわす」
「英語で読みますと」
 源氏物語をだ。
「読みやすいです」
「それが古典の言葉ではでごわすか」
「難しいです」
 日本の、紫式部が書いたそれで読むとというのだ。
「どうにも」
「シェークスピアの原語より難しいですよ」
 ミッチェルも言ってきた。
「あっちの授業で少し読みましたけど」
「アメリカで、でごわすか」
「英語も時代によって変わってまして」
「古典でごわすな」
「英語の。けど」
「その古典もでごわすか」
「日本語は難しいです」
「そうでごわすか、この世界の言葉は違っても」
 それでもとだ、北原は話した。
「日本語はでごわすな」
「難しいです」
「そうでごわすか」
「ただ。毎日聞いて書いて読んでますと」
 幾ら難しい言語でもというのだ。
「少しずつですがわかってきてます」
「それは何よりでごわすな」
「それで起きた時も」
「宜しくでごわす」
 北原はミッチェルだけでなく他の面々にも笑顔で応えた、そうして春日大社について彼等を案内していくのだった。


第百二話   完


                2019・2・15 
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