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夢幻水滸伝

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第百一話 超大国の者達その八

「やたら食うしな」
「それが何ていうか」
 スタインベックはトウェインのその言葉に応えた。
「腹立つのは事実ですが」
「腹が立ってもか」
「面白いと思いますわ」
「面白いか」
「はい、あの図々しさと尊大さが」
「腹立つだけちゃうか」
「実に人間的で。子供も悪い子も大勢いますわ」
 スタインベックは牛のその顔を笑わせて話した。
「けれどそうした子にじっくりと向かい合って何度も話してその心を正しくしていくのが大人っていいますし」
「それでか」
「ここの鹿もです」
「向かい合うか」
「それが大事かと。ただ」
「それでもやな」
「世の中根がいい奴が殆どでも」
 それでもとだ、スタインベックはさらに話した。
「どうしようもない奴もいますな」
「真性のドクズやな」
 ここで言ったのはホイットマンだった。
「ええ人も悪い奴もいるのが世の中でな」
「何処でもな」
「それでそうした救い様のない奴はやな」
「もう成敗するしかないわ」
「それはその通りやな」
「例えば子供や小さな生きものをいじめる奴や」
 スタインベックが言う『ドクズ』とはこうした連中だった、彼の強い倫理観がそこにはっきりと出ていた。
「そんな奴はな」
「どうしようもないからな」
「わいもや」
 こう言うのだった。
「成敗してる」
「こっちの世界でもか」
「実は起きた時の世界でもな」
「おい、自分暴力は否定してるやろ」
「腕力とかは弱い存在を守る為のもんや」
 ホイットマンに対して言い切った。
「そうしたもんや」
「そやな」
「けれどその考えに至るまでにな」
「暴力も振るったか」
「ジュニアハイスクールの頃に猫をいじめてる連中を叩きのめしたわ」
「そうしたことがあったんか」
「その時家で通ってる教会の牧師さんに言われた」
「わかるわ、力はやな」
 ホイットマンもその話を聞いて述べた。
「暴力に使うんやない」
「そうした連中を叩きのめすよりもな」
「その状況やと猫をやな」
「守る方に使えってな」
「そう言われたんやな」
「それでわいは身体を本格的に鍛えだしたんや」
 そうなったというのだ。
「そしてや」
「その中でアメフトをはじめたか」
「アメフトは格闘技や」
 ラグビーもそうだが最も格闘技に近いスポーツと言われている、身体と身体がぶつかり合うハードさからそう言われている。
「それをはじめてな」
「それを通じて自分を鍛えてるんやな」
「身体だけやなくてな」
「心もやな」
「スポーツマンシップも学んで」
 そのアメリカンフットボールからというのだ。
「そしてや」
「強くなってるな」
「そや」
 その通りだとだ、スタインベックはホイットマンに答えた。
「そうしてるんや」
「成程な」
「わいはあの時の猫みたいな存在を守って」
 そしてというのだ。 
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