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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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父と娘と男と女④

<謎の洞窟>
ティミーSIDE

僕達の前には禍々しい妖気を放つ異形が大きな玉座に座り眠っている。
「寝てるし害は無さそうだから帰ろ!」
小首を傾げ帰る事を促すリュリュ。
可愛いです…本当、可愛いんです、リュリュは!

「ダメよ!聞いて確認するんだから!!ちょっとおっさん!さっさとエスエムクラブを起こしなさいよ!!」
「エスターク様だっつてんだろが!!」
そう言えばお父さんも、ああやって相手を挑発してたっけ…

「あの…バトラーさん。ポピーちゃん、ワザと間違えてるの、そうやって相手を怒らせるのが目的なの。だから無視して」
「う、うむ…すまぬ、大声を出してしまって…」
リュリュは優しいなぁ…

「う゛う゛う゛う゛…私の眠りを妨げるのは誰だ…………」
ヘルバトラーの大声でエスタークが目を覚ましてしまった。
「このおっさんよ、騒いでたのは!大声を出してたのは!!」
本当に僕と双子なのか!?こうも性格が違うものなのか?

「貴様か!!」
「も、申しわ「そんな事よりも!」
怒りの矛先をヘルバトラーに固定させたまま話を続ける性悪女。

「そんな事より、アンタの目的って何?」
「目的…?」
「起きたら何するかって聞いてるの!『朝食を食べる』とかのギャグはいらないからね」
「目的…起きたら…?」
何か悩んでるぞ…

「あの…人間を滅ぼしたりしませんよね?」
「う゛う゛う゛…思い出せぬ…私は何故存在しているのか…?」
「何よ!地獄の帝王じゃ無いの?人間界を滅ぼしてやるぅ~とかじゃないの?」

「…滅ぼされたいのか…?」
「ふざけんじゃないわよ!!やられる前にやるのが私の主義よ!!」
「よかろう!貴様等を滅ぼしてから考える事にしよう!私の存在意義を!」
はい。誰がどう見ても、こっちからケンカ売ってました。

エスタークの激しい炎が最も近くに居たリュリュに迫り来る!
慌ててフバーハを唱えたが間に合わない!!
「きゃー!!」
……………………………

しかし、リュリュは無事だった!
寸での所でヘルバトラーが身を挺して庇ったのだ!
「エ、エスターク様!お止め下さい!」
「やはり貴様も敵か!滅ぼしてくれよう!!」
「酷いです、エスタークさん!バトラーさんは味方なんですよ!それなのに…」
「黙れ!!ここに居る者、皆敵だ!滅ぼしてやる!!」
寝起きが悪いのか、聞く耳を持ってない様だ。

「リュリュ、無駄よ。寝起きで機嫌が悪いのよ!ぶっ飛ばしちゃいましょ!」
リュリュはヘルバトラーにベホマをかけ後方へ退がった。
その間にも僕等は、絶え間なくエスタークへ攻撃を仕掛ける!

「少女よ…何故私を回復する…?私は敵だぞ…」
「(ニコ)私に敵は居ません。私を庇ってくれたバトラーさんは、私のお友達です。」
あの笑顔に勝てる男は居ない…

「………少女よ、名は…?」
「リュリュです、バトラーさん」
「ふむ、リュリュよ!友達同士に『さん』付けは不要!」
やはり落ちたか…

「では、眼前の大敵を倒そうではないか!」
ヘルバトラー改めバトラーも加わり、僕達はエスタークを追いつめて行く。



激闘…まさに激闘の末、エスタークは倒れ崩れ去る…

「アレ何かしら?」
エスタークが消え去った跡に、直径70センチぐらいの卵のような物体が現れた。
「た、卵?」
「きっとエスターク様がお守りしていた物であろう…エスターク様の子供…」

「何!?アイツ女だったの!?」
「エスターク様に男女の概念は無い!」
「ふ~ん…ま、どっちにしろ叩き割っちゃいましょ!」
ポピーは手にした『ストロスの杖』を卵に向けて振りかぶる。

「ダメー!!!」
しかしリュリュが慌てて卵を庇った!
「ちょっと退きなさいよ!また、あんなのが生まれたら厄介でしょ!今の内に…」
「ダメです!まだこの子は何も悪い事をしてないのよ!なのに生まれる事すら許してもらえないなんて…可哀想です………」
リュリュは卵を抱き抱え蹲る。
あぁ…あの卵になりたい…

「じゃぁ…リュリュが責任持って育てるのね!」
「はい」
優しく卵を抱き立ち上がるリュリュ。
「よし!帰りましょう。もう、疲れたし、汗だくだし、ダーリンは一人震え上がってるし…」


僕達はポピーに続きダンジョンを出口へ向かい歩いて行く。
「なぁ…何一つ、目的を達して無いんじゃないのかなぁ?」
徒労に終わったこの冒険を嘆く様に呟いた僕。
「何言ってんの!?目的は達したじゃない!」
「どの辺が?」
「お父さんより上に行ったわ!」
「上?」
意味が分からん。

「そうよ、私達だけで地獄の帝王を倒したのよ!ダーリンが指揮する私達だけで!」
酷い言い分だ!
それで押し通すつもりなのか?
あのお父さんが認めるのか?
………まぁ、いい。
兎に角疲れた…帰りたい…

ティミーSIDE END



<グランバニア>
マーサSIDE

私達がグランバニアへ着いた時には既に日も暮れ、大きな満月の輝く夜になっていた。
中庭ではリュカがドラゴンの杖片手に佇んでいる。
こうして黙っていると格好いいのに…

「随分遅かったね。少しは強くなったのかな?」
リュカはコリンズさんを優しく見据え語りかける…
「お父さん。私達はお父さんの上を行ったのよ!」
「上?」

「そうよ!地獄の帝王エ、エ、エス…なんとか?を倒したのよ!」
「エスターク様だ!」
「へー…ご苦労さん。で、それとコリンズ君とどんな関係が?」
全く関係無いわ。

「ダ、ダーリンの指揮の下やっつけたの!だから、ダーリンは強いの!」
「じゃ、試してみますか…」
リュカは分かってて苛めてるのね…

「お父さん。僕が相手をします!」
え!?何で?
ティミーは関係ないでしょう!
「可愛い(?)妹と、親友の幸せがかかってます。僕がお父さんに勝てたら、二人の結婚を認めて下さい」
リュカの顔がウンザリした表情になった。
『ヤベ、やりすぎた!さっさと認めれば良かった!』って顔ね。
でも、今更引けないわね…父親としての威厳があるものね!

「お父さん!行きます!!」
ティミーの天空の剣がリュカに襲いかかる!
しかしリュカは難無くかわすと、ドラゴンの杖で反撃をする!
激しい打ち合い!
両者とも一歩も引かない!

だが、余裕があるのはリュカだ!
ティミーは渾身の力で打ち込んでいるのに対し、リュカは涼しげな表情で全てを去なす。
「メラ」
あらぬ方向からのメラに慌てて避けかわすリュカ!
メラを唱えたのはコリンズさんだった!

「お義父さん!俺は卑怯と言われても貴方を倒す。ポピーと結ばれる為に!!」
「ヒャド」
今度はポピーが唱えた。
「バギ」
リュカはヒャドをバギで打ち消す。

「魔王より強いお父さんだもの…みんなで攻撃したって卑怯じゃないわ!」
「ポピーは僕の事をそう言う目で見てたのか…」
「うん。お父さん大好き!」
「今言う台詞じゃ無いよ」
苦笑いするリュカ。

「うん。私も大好きよ、お父さん!」
大きな卵を小脇に抱え、剣を構えるリュリュ。
何でこの子はこんなに好かれているのだろう?
我が子ながら不思議だ?

「………(クス)分かった分かった!降参だ…」
リュカは杖を納め城内へ向かい歩いて行く。
「ともかくお前等全員風呂は入れ。汗臭いぞ!!」

「おめでとう、ポピー。認められたわよ!」
「うん!マーサお祖母様、ありがとう!」
?ポピーはまだ、納得をしてない様だ?
まだ何かあるの?

マーサSIDE END



 
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