八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百三十六話 女子サッカー部の屋台でその十三
「代用の」
「蒲公英から作った」
「まずいのだったんだよ」
「そうだったんだね」
「ああ、ただ日本人が飲んだら」
その代用コーヒーをだ。
「麦茶そっくりだってな」
「じゃあ冷やすと美味しそうだね」
「そうかもな、けれどな」
「ドイツだとだね」
「まずいってな」
その様にというのだ。
「評判だったんだよ」
「そうだったんだね」
「ああ、それでね」
「代用コーヒーはだね」
「ドイツ人としてはな」
「出して欲しくないんだね」
「これ昔からあったけれどな」
マンシュタイン君はこうも話した。
「これがな」
「昔からっていうと」
「フリードリヒ大王の頃からな」
「その頃からなんだ」
「ああ、あの人が平民は飲むのを禁じてな」
それでというのだ。
「平民の間ではな」
「飲まれていたんだ」
「そうだったんだ、だからな」
「代用コーヒーの歴史も長いんだね」
「それ以来何かあるとな」
つまり物資不足になってコーヒーが飲まれなくなるとだ。
「飲まれる様になっていたんだよ」
「ドイツでは」
「ああ、けれどお茶は違うよな」
「お茶も飲めないとか」
僕は日本のことから考えて述べた。
「それはね」
「ないよな」
「特に聞かないよね」
「うん」
二次大戦の大変な時でもだ、終戦直後でも。
「飲まれてはいたね」
「そうだよな」
「これといってね」
「それがコーヒーはな」
「ドイツじゃコーヒー豆栽培出来ないしね」
「そのことがあってな」
それでというのだ。
「コーヒー豆を買ってプロイセンの金がなくなってな」
「それでだね」
「その金が他の国に流れることを考えてな」
「平民の人達はコーヒー禁止になって」
「そういうのが出来たんだよ」
代用コーヒーなるものがというのだ。
「そうした歴史があったんだよ」
「成程ね」
「けれど味はな」
このことはという話にまたなった。
「今話した通りにな」
「まずいってだね」
「評判悪いけれどな」
「麦茶そっくりな味なら」
僕が日本人として思うことだ。
「冷やしたらだけれど」
「美味いか」
「そうだと思うよ」
これが僕の素直な感想だ。
「だからね」
「代用コーヒーもか」
「決して悪いものじゃないよ、それにね」
「それに?」
「いや、蒲公英なら」
僕は素材のこのお花の環もした。
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