金色に輝く女

　　　　　　　　　　　　　　　　金色に輝く女
　女の子にとって身だしなみは絶対と言っていいとよく言われる、それは諸星衣吹にしても同じことである。
　少しふっくらとしているが白くきめ細かな肌と奇麗な黒目がちの瞳に黒いロングヘアが小柄な身体にマッチしている。
　だが衣吹はこの時友人の大橋由香に言っていた。
「実は私毛がね」
「毛深いの？」
「そうなの」
　面長で黒髪を肩の高さで切り揃えていて目がきらきらとしている友人に話した。
「だからいつも脛とか手とかね」
「毛の処理になのね」
「苦労してるの」
「そうね、衣吹ちゃんってね」
　由香はその衣吹の身体も見た、今は体育の授業前で着替えたばかりだ、通っている高校の体操服は上は今は夏なので半袖の白いもので下は赤い半ズボンだ。その為手足がよく見える。
　それでだ、由香は衣吹の手足を見つつ話した。
「色白よね」
「お肌が白いのはいいのよね」
「ええ、よく言われるわよね」
「そのことはよくてもって言いたいのね」
「毛って黒いでしょ」
　由香は今度はこのことを話した。
「特に私達はね」
「日本人だとね」
「アジア系の人って髪の毛の色濃いじゃない」
「白人の人と比べてね」
「それは髪の毛以外の毛もそうで」
　それでというのだ。
「黒いでしょ」
「ええ、それに何か私髪の毛も太くて」
「手足の毛もなのね」
「そうでね」
　黒くて太くてというのだ。
「目立つのよ、元々毛深いし」
「毛深いの？」
「私はそう思ってるけれど」
「見たところね」
　由香は衣吹のその腕を見て述べた、見れば白い肌が実に奇麗だ。
「別に」
「毛深く見えないっていうのね」
「私としてはね」
「だからいつもね」
「お手入れしてなの」
「脱毛剤塗って」
　そうしてというのだ。
「お手入れしてるの、剃ったりして」
「それでいつもなのね」
「毛がない様にしてるの」
「それでそのことがなの」
「いつも手間暇がかかって。お金もかかって」
「脱毛クリームでなのね」
「大変なのよ」
　こう由香に話すのだった。
「これがね」
「それで今言ってるのね」
「どうしたものかしらってね」
　衣吹は困った顔のままだった、その顔で言うのだった。
「思ってるわ」
「ううん、私としては」
　由香は由香で話した。
「実はね」
「実は？」
「結構体臭がね」
　これがというのだ。
「気になってるのよ」
「そうなの」
「ええ、結構きつい気がしてて」
「別に、というか」
　少しだ、衣吹は由香に近寄って鼻をくんくんとさせた。そうしてから由香本人に対してこう言った。