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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第九幕その三

 お姫様は先生に少し怪訝なお顔で言いました。
「茶はわかるが」
「他のことはですか」
「洋食とな」
「イタリアやスペイン、フランスの」
「海の幸を使ったじゃな」
「そうです」
 お料理のことから答える先生でした。
「そちらのお料理で。お酒もワイン等を考えています」
「ふむ。妾も南蛮の料理は知っているが」
「それでもですか」
「あまり食することはない」
 そうだというのです。
「嫌いではないが」
「そうですか。お嫌いではないですか」
「亀姫もな。しかし宴で出したことはな」
 それはというのです。
「ない」
「ではです」
「ここはか」
「はい、あえてです」
「南蛮料理を宴で出すか」
「そうされてはどうでしょうか」
「わかった、ではどうした料理を出すかもな」
 それもと言うのでした。
「後日先生の家に使いの者をやってな」
「そのうえで、ですね」
「話すとしよう」
「それでは」
「あと花火か」 
 お姫様は今度はこちらのことに言及しました。
「それか」
「はい、夜ですので」
「打ち上げてか」
「楽しまれてはどうでしょうか」
「人間達は冬にスキーを楽しみスキー場で花火も打ち上げておる」
 このことはというのです。
「妾も知っておるが」
「宴で打ち上げられたことはなかったですか」
「夏のみじゃ。冬の花火とな」
「これもいいかと思いまして」
「提案しておるか」
「左様です」
「ううむ、それはいいものであろうか」 
 お姫様は考えるお顔になって独り言の様に言いました。
「果たして」
「いいと思います、実際にです」
「スキーの場で、であるな」
「沢山打ち上げられているので」
 だからだというのです。
「僕はお勧めします」
「わかった、ではな」
「こちらもですね」
「やってみるとするか」
「それでは」
「そして天守閣をはじめとした城をじゃな」
 お姫様の言葉は続きます。
「灯りで飾るか」
「そしてイルミネーションもです」
「あれじゃな、十二月二十四日等に人間達が街を飾っておるな」
「あちらです」
「あれをか」
「このお城でしてみては」
「そうしたことも宴ですればよいのか」
 お姫様は深く考えるお顔のまま先生に応えます。
「これは考えたこともないわ」
「それで歌や舞やお芝居は」
「うむ、日本のものじゃな」
「そちらはどうかと。歌舞伎や能も入れて」
「おお、能か」
「こちらもどうでしょうか」
「先生はわかっておるのう」
 能についてはです、お姫様は先生に気品のある微笑みを見せて応えました。
「あれをとはな」
「いいとですか」
「妾は思う。歌舞伎もよいが能もよい」
 こちらもというのです。 
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