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仗助にもしも双子の姉がいたら?ネタ

作者:蜜柑ブタ
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二度目の死

 
前書き
途中から、重ちー視点。


ブルー・ブルー・ローズの青いバラの花により、重ちーは、吉良吉影の爆発から一度は逃れるが……? 

 


「あ~、仗助さんのお姉ちゃんだ~。」
「あれ、重ちー君。おはよう。」
「おはよ~!」
 重ちー君は、欲さえ絡まなければ素直で良い子でした。
 ……あの時(宝くじ券の一件)は、しばいてごめんね…。
「姉ちゃ~ん。」
「あ、仗助。」
「およ、仗助さん! 億泰さんも!」
「よぉ! 重ちぃ!」
 なんだかんだあったが、三人は友達という形で収まったみたい。まあ、同じスタンド使いだしね。しかも、ぶどうが丘の中等部の生徒で後輩だったんだし。
「あ、そうだ、仗助さんのお姉ちゃん。聞きたいことがあったんだど。」
「なぁに?」
「おらのハーヴェストが見えるだど? じゃあ、お姉ちゃんもスタンド使い?」
「……一応ね。」
「?」
「おい、重ちー。あんまりそのことには触れないでくれ。」
「なんでだど?」
「い、色々とあんだよ! 色々と!」
「仗助さんのお姉ちゃんのスタンド、見てみたいど。」
「っ!」
「こぉら!」
「いだっ! なにするど!」
「人の嫌がることはするなって、親に教わらなかったか!?」
「こら、仗助。重ちー君は、悪気があるわけじゃないんだから。」
「けど!」
「あのね、重ちー君。私のスタンドは、制御ができてないの。だから君のように自由に操れない。」
「ほへ?」
「青いバラの花を…、見たことがある?」
「それ見たことあるど。触ったら消えたけど。」
「えっ?」
「?」
 つまり、今、重ちー君には、青いバラの花(寿命)が入ってるってことか…。
 私は、仗助と目を合せた。
 どうする? 言うべき? 私のスタンドの能力を? やめとく? 重ちー君、口軽いから? じゃあ、そうするか…。
 アイコンタクトの末、秘密にしておくことにした。
 せめて、重ちー君が死ぬような目に遭わないことを祈るしかないのかもしれない…。


 けれど…、その祈りは、変えようのない運命に逆らえなかった。


 仗助と億泰君ってば、この後1000円も重ちー君に借りようとして…。
 母さんが今日お弁当作れなかったし、私も朝寝坊したから作れなかったし。この守銭奴め。
 宝くじの500万円は、私が預かってるし、私が持ってたお小遣いのお金で立替えといたよ。
「あの500万円、貯金してるだど?」
「うん。あんな大金持って帰って見られたら、家族がひっくり返っちゃうよ。」
「……仗助さんは、うらやましいど。」
「どうして?」
「おら、一人っ子だから、お姉ちゃんがいてうらやましいど。」
「こんな暴力的な姉はイヤでしょ?」
「ししっ。暴力は嫌いだけど、おら達のことを本気で怒って叱ってくれただけだど?」
「まあ…ね。」
「おら、仗助さんの姉ちゃん、好きだど。」
「ふふ。ありがと。」
 無邪気に笑ってそう言ってくれた重ちー君って、可愛いね。
「し~げ~ち~~~?」
「うぉ!?」
「こら、仗助!」
「なに、姉ちゃんにちゃっかり好きとかいってやがんだ、こらぁ!」
「やめなさい! この馬鹿弟!」
「ぐぇ!」
 重ちー君の襟首の後ろを掴む仗助の横腹を殴っておいた。
 まーったく、この弟は。
 その後、重ちー君に謝っておいて、重ちー君が中等部の体育館準備室に行けば、体育教師がこっそり飲んでるお茶とコーヒーとかがあると言っていて、一緒にお昼食べないかと誘ってくれた。
 ふふふ、なんか悪いことしてる背徳的な気分になるね。それも良さそうだから一緒にお昼食べることにしました。

 そういえば…、なんか覚えのある視線を感じたので振り返ったら、そこには誰もいなかった。

「どうしたど?」
「いや…ごめん。なんでもない。」
 私は、重ちー君と別れ、仗助達と一緒にお弁当を買いに行きました。
 そして、約束通り、こっそりと中等部の体育館準備室に。
「来たよ。」
「待ってたど。コーヒー持ってきてあげるど。」
「ありがと。でも苦いのダメだから、砂糖とミルクいっぱい入れてほしいな。もしくは、お茶。」
「俺らの茶も頼むぜ。」
「なんで、お前らもいるど?」
「いいじゃねぇかよ。減るもんじゃねぇし。」
「ん?」
 見ると、重ちー君のサンジェルマンのサンドイッチが入った袋の周りに、ブルー・ブルー・ローズが!
「ああー! おらのサンドイッチに変な根っこが!」
「ダメ、重ちー君! アレに触ったら!」

「コラァー! 誰か準備室にいるな!」

「げっ! 体育教師だど! さ、サンドイッチ…。」
「諦めろ!」
 私達は、入って来た窓から逃げました。




***




 side:重ちー

 変な赤い根っこのせいで、おらのサンドイッチが…。テリヤキサンドイッチが…。
 けど、だいじょうぶだど! おらには、ハーヴェストがいるだど!
 だけど、体育館準備室にはなかったたど…。体育教師が持ってたかど?
 そしたら、なんでか知らない人がサンドイッチの袋を持っているのをハーヴェストが見つけたど。
 おらは、サンドイッチを盗んだやつを追いかけて行ったど。
 なんか、不気味な奴だど…。
 でもそれよりサンドイッチだど!
「取り上げろ! ハーヴェスト!」
 おらは、ハーヴェストにサンドイッチの袋を取り上げさせようとしたど。
 知らない人は、必死で袋を掴んでて……、袋が破れたど。

 女の人の…手首が出てきたど。

 サンドイッチじゃなかったど。

「なんということだ……。見てしまったか…。そして…、私と同じ能力を持っているのか。このちっこい物は!」
「み、見えるのかど…!? おらのハーヴェストが!」
 ど、どういうことだど? アイツ…、おらのハーヴェストが見える? ってことは、スタンド使いだど!?
 そ、それより、なんでおらのサンドイッチが、女の人の手首に…?
「君。一人かね……? さっきの友達二人も……。そして、あの…娘も…。」
 知らない奴が周りを見回してるど!
「君と同じような能力を持っているのかね?」
「おまえ! 動くんじゃねーど!!」
 やばいど! コイツはやばいど!
 おらは、ハーヴェストでそいつを取り囲んだど!
 得体の知れない、汚らわしい気分がするど!
 女の人の手首を拾おうとしたアイツは、そのまま立ち上がったど。動くなって言ったのにど。
「私の名は、『吉良吉影』。年齢は、33歳。自宅は、杜王町北東部の別荘地帯にあり…、結婚はしていない。」
「?」
「仕事は『カメユチェーン店』の会社員で毎日遅くとも夜8時までには帰宅する。」
「??」
「タバコは吸わない。酒はたしなむ程度。夜11時には床につき、必ず8時間は睡眠をとるようにしている。寝る前に温かいミルクを飲み、20分ほどストレッチで体をほぐしてから床につくと、ほとんど朝まで熟睡さ。赤ん坊のように疲労やストレスを残さず、朝、目を覚ませるんだ。健康診断でも、異常なしと言われたよ。私は、常に「心の平穏」を願って生きている人間と言うことを説明しているんだ。「勝ち負け」に拘ったり、頭を抱えようなトラブルとか、夜も眠れない『敵』を作らないということが、私の社会に対する姿勢であり、それが自分の幸福だということを知っている。だが…、最近は少しばかり悩ましいことがあったが。まあそれは、君の知ることではない。」
「な、何を…話してるだど!?」
 わ、わけが分からないど!?
 コイツおかしいど!
 その時、アイツの背後に、スタンド…の影が!
 アイツのスタンドだど!
「つまり重ちーくん。君は私の睡眠を妨げる『トラブル』であり、『敵』というわけさ。誰かに…、特にあの『娘』に喋られる前に…。君を始末させてもらう。キラークイーン! ……と、私はコイツを名付けて呼んでいる。」
 か、仮面みたいに無表情な、猫みたいな頭した人型スタンドだど!
 けど、ハーヴェストをなめるなど!
 それにしても、娘って…誰のことだど? まさか…。
「ミナミ…姉ちゃん?」
「…察しの良い子は、苦手だな。」
「ミナミ姉ちゃんに知られるとマズいってどういうことだど!? おまえ、まさか…ミナミ姉ちゃんの手首を…。」
「それは、少し違うな。」
「?」
「確かに最初は、彼女の『手』が欲しかった。私だけの『彼女』として持ち歩きたいと思った。だが、私の脳がそれは違うと否定したのだよ。」
「ど、どういうことだど…?」
「私は、『彼女の全て』が欲しいと、生まれてこの方初めて思えたのだよ。どうすれば、彼女を極力傷つけずに、あの美しさを手に入れられるか考えているところさ。」
「お、おまえぇぇぇぇ!!」
「ぐっ!」
「ミナミ姉ちゃんに手を出させないど! 少しでも動いたらなんとか脈ってのを、切るど! おまえのスタンド…、どうやらパワーあっても、そんな遠くまで行けるタイプのスタンドじゃないと見たど! 射程距離、1~2メートルぐらいと見たど! 死にたくなかったら、動くんじゃないど!」
「……なるほど。個人によって色んなタイプの能力があるということか? スタンド? ん~~~、スタンドねぇ。ところで……。私のキラークイーンにもちょっとした特殊な能力があってねぇ。」
 ん? なんか、アイツのスタンドが何か持ってるど?
「ハーヴェスト! 取り上げろ!」
 ハーヴェストの一匹にソレを持ってこさせたら、ただの百円だったど。
「私のキラークイーンの特殊能力を教えてあげるよ。どーせ君はすでに、キラークイーンによって始末されてしまっているのだからね……。」
「!? ハーヴェスト!」
「キラークイーンの特殊能力…。それは、キラークイーンは、触れた物をどんな物でも爆弾に買えることが出来るということ。例え…、百円玉であろうとも、ね。」
「ひゃ、百円玉を捨てろ、ハーヴェストぉぉぉ!!」

 カチッ
 って音が聞こえて、百円玉が爆発したど。

 何が起こったど…?
 おらは…、おらは…。

「これで、今夜も、くつろいで、熟睡できるな。」


 おらは、青いバラの花が散る映像を見たど…。どういうことだど?
「はっ!? お、おらは…。」
「なっ!?」
 吹っ飛んだと思った、おらの体が無傷だど!
 い、意味が分からないど…、で、でも…。
「し、しししし、知らせないと…! ミナミ姉ちゃんが危ないど!」
「チッ!? どういうことだ! それが貴様の能力? いや、違うな…。」
「ハーヴェスト!」
 おらは、ハーヴェストの上に寝っ転がって、ハーヴェストを走らせたど。
「むっ! そんな方法も取れるのか!」
「高等部へ! 知らせないと! ミナミ姉ちゃんが危ないど!」
 アイツに…吉良吉影とかいう奴に、殺されちまうど!!
「早いな…。だが…。」
 あいつの声が遠くなったど。
 急がないと、急がないと!

「だめだめだめだめ。」
「あっ!?」
 さ、先回りされて…。
「君は死ななくてはならないんだ。目撃者は生かしてはおけないよ。」
 キラークイーンがまた百円玉を投げてきた。
「うおおおおおおおおおおおおお!?」
「爆発のタイミングは、こちらで自由でね。避けようとしても無駄さ。どうやら、君のスタンドというものは、ちっこいだけにひとつのことをしていると、他にコトには気が回せないようだね。」
「ぐおおおおおおおおお!?」
 爆発が、おらの…顔が…。
「さて、重ちー君。この町にはあと何人、君と私と同じスタンドを使える者がいるのかね?」
「し…知らない…ど…。」
「知らないってことはないだろう? いいかい? 喋らなければ…、君の両親も、始末するよ?」
「!?」
 パパとママを!?
「早く喋れよ。」
「み……みんな言ってたど…! この町にいる殺人鬼…、を探してるな…! 殺人鬼…、おまえのことだど! 『杉本鈴美』もお前を探してるとど!!」
「なに!? 杉本鈴美だと…!」
 い…いまだ…。
 おらは、力を振り絞ってハーヴェストで壁を作ったど。
 そして、高等部へ急いだど……。
 仗助なら…おらの傷を…治せるど……。

 ミナミ姉ちゃんにも知らせなきゃ……。みんな殺されちまうど…。パパ…、ママ…おらが、おらが守らなくちゃ…!!

 おらは、やっとの思いで高等部の仗助達の教室にたどり着いたど。
 あとは…、扉を……と、びら…を…?
「!?」
 ま、窓から…アイツが…吉良吉影が…!?

「キラークイーンは、すでにドアノブに触っているのだよ。」

 カチッ

「じょうすけーーーーーーーーーーー!!」

 おらのからだが、粉々に…くだけた…ど。

 おらは、もう、青いバラの花を見なかったど……。

 
 

 
後書き
ブルー・ブルー・ローズの青いバラの花により、1回目の爆発から生還したものの、二度目の死は回避できないため、重ちー死亡。
重ちーの生存も考えたけど、物語を大きく吉良吉影の追跡の方向に変えるには、彼の死が大きなきっかけになるだろうということで……。

なお、ブルー・ブルー・ローズのことは、吉良は、まだ赤い根っこを見ただけで、それがミナミのスタンドだとは知りません。名前も知りません。 
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